PC遠隔操作:ウイルス容量異なる 三重では動作異常
毎日新聞 2012年10月09日 15時00分(最終更新 10月09日 15時06分)
インターネット上に犯罪予告を書き込んだとして逮捕された後、事件と無関係の可能性があり釈放された三重県と大阪府の男性2人のパソコン(PC)内にあったウイルスファイルの容量が異なることが、捜査関係者への取材で分かった。また、三重の無職男性(28)のPCだけ感染直後に不具合が起きていた。両府県警はファイルの微妙な差異に着目し、不正指令電磁的記録作成・同供用容疑で感染ルートの解明を急いでいる。
捜査関係者によると、2人のPCを解析した結果、ウイルスは同種のものだったが、ファイルの容量に差があった。三重の男性は「インストール後に動作が重たくなった。パソコンが誰かに乗っ取られたようだ」と県警に話す一方、大阪のアニメ演出家(43)のPCに異常動作はなく、「身に覚えがない」と一貫して否認していた。
このウイルスは、第三者が遠隔操作で機能を追加したり修正できたりするという。何者かがウイルスの機能を変えたことで、ファイル容量に違いが生じ、PCの動作にも差異が出たとみられる。
大阪の演出家は複製ソフトを、三重の男性は画像処理ソフトをそれぞれダウンロードした際にウイルスに感染したことも判明した。ともにネット上の無料ソフトで、何者かがウイルスを仕込んだ可能性があるという。
また、三重の男性のPCからゲーム機メーカー「任天堂」(京都市南区)への爆破予告が書き込まれていたことが新たに分かった。【武内彩、三上健太郎、服部陽、大野友嘉子】
◇「慎重に捜査してほしかった」
釈放されたアニメ演出家が「逮捕されてショックだった。否認したのに警察は『お前に間違いない。確証がある』と決めつけた。慎重に捜査してほしかった」と話していることが分かった。弁護を担当している土橋央征弁護士が明らかにした。演出家はウイルス対策ソフトを使用していたが、第三者による「乗っ取り」の兆候はなかったという。