ドイツ:バイオリン返還で財務相を告発 税関職員

 【ベルリン篠田航一】ドイツ・フランクフルト国際空港の税関で8月に音楽家の堀米ゆず子さん(54)の高額バイオリンが押収された後、財務省の指示で無償返還されたことに対し、押収した税関当局の職員が、返還を決めたショイブレ財務相を「音楽家の脱税行為を助けた」として脱税ほう助の疑いで検察当局に告発した。

 独メディアは、9月に同空港で差し押さえられた有希・マヌエラ・ヤンケさん(26)の高額バイオリンについても返還指示が出たと報道。一連の押収騒動は財務省と下部組織の税関との内部対立に発展している。

 同空港では、8月にベルギー在住の堀米さん、9月にドイツ在住のヤンケさんの愛器が押収された。税関などによると、430ユーロ(約4万3000円)以上の価値を持つ高額物品を欧州連合(EU)域内に持ち込む場合には申告が必要だが、2人とも無申告で税関を通過しようとしたため、密輸などの疑いを持たれたという。

 堀米さんは評価額1億円の名器ガルネリを押収され、約1900万円の関税支払いを求められたが、その後正当な購入証明書などを提出し、無償で返還された。評価額6億円の名器ストラディバリウスを押収されたヤンケさんは約1億1000万円を払うよう求められ、返還に向けて交渉を続けている。

 同税関は「取材には回答しない」としているが、独ビルト紙は一連の税関の対応にショイブレ財務相が立腹していると伝えている。

2012年10月09日 11時05分

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