日本映画と時代の大切な記憶のために

日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。


テーマ:

ハイ・ティーン

1959年 松竹

監督:井上和男 主演:佐田啓二、桑野みゆき、三上真一郎、小林トシ子


今でも存在する、荒れた学園ものである。そこに赴任してきた教師の佐田と生徒が触れ合う中で、さまざまな事件がおこり、結果的には生徒とともに佐田も他の地にとばされるという話。桑野の役は将来のことを何も考えていない不思議な生徒役だ。昨日まで書いてきた映画の役がかなりの優等生なのに対して、遅刻常習犯で勉強などやる気のない不良役である。髪形もショートで、雰囲気が随分と子供ッぽい感じだ。こちらの方が、歳相応なのかもしれないが、あまり綺麗な印象がない。ただ、その美脚がみれるシーンが多々あり、そういう意味ではお宝フィルムでもある。


佐田は他校で生徒を殴り南ヶ丘高校にやってくる。まかされたクラスは問題児の集団だった。来る早々挨拶に爆竹を仕掛けられ、ラグビー部の連中はやる気がなく、遅刻してきた桑野は問題児だった。なめられまいとラグビーを一緒にやる佐田だったが、体力でついていけなかった。そして桑野は一緒にプールにいってくれといわれつきあう。皆、マイペースで佐田と触れ合い、お互いにわかりあっていく。そして修学旅行。泊まった旅館で盗難騒動を起こす生徒に佐田は殴ってしまう。校長(東野英治郎)にはきつく怒られる。そしてラグビーの試合の日、女生徒(瞳麗子)が倒れる。妊娠していたのだ。父親は俺だといった生徒(戸塚雅哉)は学校をやめ、瞳も田舎に引っ越した。だが、実際は戸塚が犯人でなく、瞳は義父に関係を持たされていたのだ。そして、次は三上が母と関係を持つ男(加藤武)をナイフで刺してしまい捕まる。そんな中、卒業も近付くが桑野は進路さえ決めようとしなかった。佐田は不祥事が続き、松江にとばされることになる。戸塚を始め生徒たちは謝恩会を開く、そこに三上が東野に連れられて戻って来た。佐田は皆に見送られていく。


現在でも、よくある不良クラスがまとまる話だが、佐田は生徒たちと触れ合いを増やそうというだけで、特に変わったことはしていない。生徒のかかえる問題は、親に対することがほとんどで、はっきりしているので、教師は生徒の敵対するものではないのかもしれない。ただのストレスのはけ口に描かれている感じだ。


映画の冒頭はプールから始まる。水着の美脚を誇らしげに上げる桑野が飛び込み台から飛び込む。朝のプールに黙って入り、学校にそこから登校と言う流れなのだが、桑野の役は、このプールで泳いでいるような浮遊感がある。しかし、当時としては、桑野のスタイルは凄くよい。この後も、家でショートパンツでシャツ一枚でゴロゴロする彼女が何度かでてくるが、その肉体の誇長はなかなか男の子をモヤモヤさせる感じである。


佐田が初めてクラスにいくと、黒板には「あなた買います」と書いてある。佐田が主演した映画をもじってのことだろうが、これはうけたのだろうか?


クラスの男子生徒のほとんどがラグビー部という設定。しかし、顧問の先生はでてこない。そういう細かい部分は結構いいかげんな映画である。生徒がのびのび過ぎる割には、他の先生もでてこないで、学校自体のスタンスが、校長の話以外みえてこない。そういう部分ではどうも片手落ち感がある映画である。


修学旅行は茨城の大洗と東海村。まだ灯がともったばかりの原子力研究所を見学するシーンがある。この頃から、こういう見学コースを作って原子力宣伝を行い、それが有意義なものだと洗脳していったことがよくわかる。見学の後、桑野が佐田に絡んで、「私の第4の灯がついたのよ」みたいなことを言うのはおもしろかったが、今見ると考えるところが多い(映画にわざわざこういうシーンが入るのが不思議だ)


大洗に行くのはこの当時は準急の「ときわ号」。大洗の海岸もしっかりロケしている。しかし、この修学旅行シ-ンは当時の映画に出てくる高校生のものとしてはかなりヤンチャである。実際はこんなものだったのかもしれない。当時はめずらしかったテレビを盗むという行為は、ちょっとやりすぎではあるが・・。そして、ここで生徒をピンタして佐田が怒られるが、この頃から鉄拳制裁は許されなかったのだろうか?高校生だからなのか?ちょっと疑問に思った。


その後も、妊娠騒ぎや殺人騒ぎなど、凄いことが起こるのだが、意外に普通に高校生活がすすんでいってしまうのは、ちょっとご都合主義な映画である。佐田と生徒たちがそれなりに近づいていくのはわかるが、事故の処理を佐田がしっかりしているとは見えないので、映画的な力はない。


ラストは松江に向かう列車の中で物思いにふけようかと言うところで、また修学旅行の学生の騒ぎに巻き込まれうんざりという画。結局、この映画では学校や学生は異星人的な扱いでブラックコメディとでもいいたげな感じの終わり方だ。たぶん、そういう事だろうと思う。


桑野はやはり御嬢さん的なまじめな役の方が似会っている。ただ、自分から演技の幅を広げるんだという感じで頑張っているのはよくわかる。ファンは必見の作品ではありますが・・・。






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