日韓が通貨協定縮小で合意、欧州問題小康で「ウォン危機」回避
[東京 9日 ロイター] 政府が韓国と昨年合意した通貨スワップ協定の拡大策を延長せず、従来の130億ドルに戻した背景には、国の債務・金融システム問題に大きく揺れた欧州情勢が以前に比べて落ち着き始めたとの判断がある。
700億ドルの巨額協定はそもそも、欧州危機に乗じて投機筋が韓国ウォンを売り仕掛け、アジア経済全体を混乱させかねない動きに徹底対抗する当局側の「意志を示す」(関係筋)異例ともいえる措置だったためだ。
日韓両国は昨年10月、野田佳彦首相が李明博大統領との会談で、1年間の時限措置として通貨スワップの限度額を700億ドルへ拡充することで合意。日銀と韓国銀行(中央銀行)が結んでいた円とウォンのスワップ限度額を30億ドルから300億ドルへ広げたほか、新たに日本の外為特会と韓国銀行の間で、ドルと円やウォンを交換する300億ドルの枠組みを設けた。アジア域内国で緊急時に外貨を融通し合う「チェンマイ・イニシアティブ(CMI)」で合意済みのスワップ限度額は100億ドルで据え置いた。今回の合意で11月以降、両国間の協定は中銀間の30億ドルとCMIの100億ドルの計130億ドルに戻る。
欧州危機に金融市場が揺れた昨年は、欧州各国国債の価格が暴落したことなどから、欧州の金融機関を中心に経営環境が急速に悪化し、主要な投資先のひとつだったアジア各国から資金を回収する動きが活発化した。投機筋もこのシナリオに乗じたことでアジア通貨は軒並み売り攻勢を受け、昨年7月時点で3年ぶりの高値圏で推移していた韓国ウォンの対ドル相場は、わずか数カ月で1年ぶり安値となる1ドル=1200ウォンを一気に突破する急落劇を見せた。
急速な通貨安を食い止めるため、韓国当局はドル売り/ウォン買い介入に動くが、収まらない通貨安圧力に外貨準備として保有するドルは急減。昨年9月末の外貨準備高は3033億8000万ドルと、1カ月で一気に88億1000万ドル減少した。月次の減少幅としては、リーマンショックで大規模なウォン買いを行った08年11月以来最大。韓国側が通貨スワップの拡充を日本へ提案したのはこうした最中のことだ。ウォンの急速な下落が円相場はもとより、域内経済に悪影響を与えかねないとの判断から、日本は提案に応じたとされる。
城島光力財務相は9日の会見で、今回の決定は「純粋に経済・金融面に基づく判断」として、領土問題と一線を画したものだと繰り返し強調した。11日に日韓財務相会合が予定されているにもかかわらず、打ち切りの発表のみを前倒すことで、緊迫する両国間の閣僚会談が決裂したとの印象を与えないよう、当局間で細心の注意を払ったとみられる。
(ロイターニュース 基太村真司:編集 石田仁志)
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