2003年の6月。快晴の青空のもと、僕たちはスタンフォード大学ビジネススクールの卒業式が行われるキャンパス内の野外円形劇場に向かっていた。
■はじまりはビジネススクールの友人……
「卒業したら北京に戻って米国ではやっているソーシャルネットワークのサービスを始めようと思っている」――。そんな会話をしたのが、仲の良かった中国人クラスメートであった。この友人が選んだ共同創業者も同スクール卒の人物で、そんな近い縁もあり、弊社は創業間もないこのベンチャー企業に投資する機会を得た。
それから8年後の2011年5月4日。中国最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である「人人網(レンレンワン)」を運営する「人人」はニューヨーク証券取引所で上場し、久々の大型IPO(新規株式公開)として初日には時価総額が71億ドルに達した。
私の友人が起業したSNSは早期に「人人」の母体となるベンチャーに買収されたのだが、その関係から、弊社は投資家として人人にも出資することになり、莫大なリターンを得る機会に恵まれた。
■VCの「ディールソーシング(投資先探し)」とは
そもそもベンチャーキャピタル(VC)はどうやって投資先を見つける(専門用語で「ディールソーシング」と呼ぶ)のだろうか。
伊佐山元(いさやま・げん)
1973年2月生まれ。97年東大法卒。日本興業銀行からスタンフォード大学ビジネススクールに留学し、ベンチャーに目覚める。現在、米大手ベンチャーキャピタルのDCM本社パートナーとしてITサービスやネットメディアの投資を担当。日米のテクノロジーベンチャーを発掘し、世界に広めることを生き甲斐とする。プライベートでは子供にゴルフを教えながら頭と心を鍛えることを趣味とする。
この“秘密”は誰もが関心を持つトピックである。VCにとっても、いかに効率的にクオリティーの高い経営者やベンチャー企業にたどり着くかというのは、永遠の課題でもある。
一人のベンチャー・キャピタリストが持つ限られた時間とリソースの中で、投資をして、きちんと事業を支援できるベンチャー企業は年にせいぜい1、2社。キャピタリストを20年間続けたとしても、合計50社に満たないのである。そのうち成功するベンチャーの数はわずか。それだけに、この投資先(ディール)にたどり着く源(ソース)は、我々VCにとって投資を成功させる上で非常に大切な要素となる。
では具体的には何が「ディールソース」になるのか? 絶対数で最も多いのが、電子メールや郵便物で届く持ち込み案件である。弊社だけでも年間数千社が舞い込んでくる。
しかしながら、ベンチャー企業への投資が究極的には“人への投資”であることを考えると、縁もゆかりも無いベンチャー企業への投資が行われることはほとんどない。一つのVCで考えると、持ち込まれる全案件に対して投資までたどり着くのは全社で年間10件程度、つまり1%以下という数字だ。さらに株式上場や買収といった本当の成功を果たすとなるとさらに狭き門といえる。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNS、ソーシャルネットワーク、レンレンワン、ビジネススクール、ニューヨーク証券取引所、ユーストリーム、フェイスブック、ツイッター
2003年の6月。快晴の青空のもと、僕たちはスタンフォード大学ビジネススクールの卒業式が行われるキャンパス内の野外円形劇場に向かっていた。
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