精力的に練習に励むグランパスの藤本=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで
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名古屋グランパスのMF藤本淳吾(28)が、富山県総合運動公園陸上競技場でJ2岡山と対戦する10日の天皇杯3回戦を前に、「脱ジャイアント・キリング」を掲げた。7日に自身も愛読する講談社の人気漫画「ジャイアント・キリング」のインタビューページ用の取材を受けたが、実際の試合では番狂わせを起こさせるわけにはいかない。6日の大宮戦ではベンチスタートとなったが、復権をかけて格下の岡山をたたく。
「ジャイアントキリング=大物食い」が毎年話題になる天皇杯を前に、グランパスで漫画と実在の選手のコラボレーションが行われた。指名されたのはMF藤本。「大切にしている言葉」をテーマに取材を受けた。11月中に発売されるモーニング誌に掲載予定だ。
清水時代にはクラブハウスに全巻そろっていた同作を愛読。漫画好きのベテランMF伊東輝悦(現甲府)が持ち込んだもので、マッサージの時間などに選手たちはこぞって読んでいたという。それを聞いた講談社から、藤本のもとにも既刊24巻すべてを贈呈されることになった。
もちろん、藤本に浮かれる様子はまったくない。ここ数試合、さまざまな葛藤から判断の遅れやミスが目立つようになり、6日の大宮戦では今季初めて故障以外の理由で先発を外れた。「試合を見ていて、いろいろ思うことはあった。いい機会というか…」。自分を見つめ直す時間。同作で苦悩しながら成長する準主人公のMF椿の姿にも重なった。そして「自分のまいた種だから、自分で処理しないと」と試練を乗り越える強い意思を明かした。
物語中、グランパスは強豪クラブ「名古屋グランパレス」として主人公率いる「ETU」に挑まれ、敗れる設定だ。実際に今季、グランパスは札幌、新潟など、何度も降格圏チーム相手に“ジャイアント・キリング”されてきた。岡山もビッグクラブを倒そうとモチベーション高く挑んでくるはず。それでも藤本は、強い決意に少しのちゃめっ気を含ませて言った。「勝たなきゃいけないゲームなんで。ジャイキリされないように」。あくまでも漫画は漫画。きっちりと格の違いを見せつけ、自身の復権にもつなげる。 (宮崎厚志)
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