山中氏ノーベル賞:文集につづられた「原型」

毎日新聞 2012年10月09日 13時58分

 今年のノーベル医学生理学賞受賞が決まった京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(50)は、大阪教育大付属天王寺中学、高校時代、夢や目標を持つことの大切さを文章に繰り返し書いていた。「自分の純粋な夢を大切にしていきたいものだ」「目標を持つことの意義を知った」。ビジョンとワークハードをモットーとし、目標を定めてひたすら努力を重ねてきた山中さんの「原型」が、少年時代の文章から浮かび上がってくる。

 『わが中一時代』という文集の「初心忘れるべからず」では、中学合格時には勉強もスポーツも頑張ろうと決心したのに、夏休みになると「だらだらと毎日をすごしてしまった」と自省した。そして「だらけた一年間でした。決心してはそれを破る。こんなことをくりかえしたのは、ぼくの自制力が弱かったからだ」。そして「これではいけない」「合格した時の決心を頭に置いて毎日を有意義にすごそう」と決意する。

 中学3年の「柔道を通して考えたこと」という文章では、「初段を取得」と「団体で市大会に優勝」という二つの目標を持ち、柔道に打ち込んだ3年間を振り返った。しかし初段を取り、団体では3位入賞を果たしたことで、「目標がなくなり、気がぬけてしまった」と自らを分析する。そして「初めて目標を持つことの意義を知った。『目標を持って生きる』。このことを常に頭においてこれからの人生を歩んでいきたい」と再び決意を示した。

 そして高校卒業時。「3年間をふりかえって」という文章では、「友」と「夢」の大切さに触れた。「クラブでは自分の弱さをいやというほど思い知った」と自らに厳しい姿勢を示す一方、友人に目を向ける「付高には夢を持った友が多くいた。尊敬できるし、一緒にいるだけで楽しい」と書いた。そしてこう結んだ。

 「僕にも夢がある。10年後、20年後も同じ夢を、できれば実現されたかたちで語り合えたらどれほどすばらしいことであろう。そうなることを心から願っている」【江口一、吉田卓矢、畠山哲郎】

 ◇中学時代の修学旅行文集「私達と自然」

 今自然保護といって行われているのは自然を保護するためでなく、人間を保護するために行われていると思う(自然保護と人間保護)

 ◇中学時代の卒業文集「巣立ち」

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