最大の貿易相手、長引けば生活に影響も
中川透記者 朝日新聞経済部
ジャン 最近、日本と中国が島をめぐって争っている記事をよく見るわ。
中川記者 尖閣諸島のことだね。お互いの国が自らの領土と言い合い、関係が悪くなっている。企業の動きなど経済に大きな影響が出ているよ。
ポン どんなことが起きているんだろう。
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| 日本メーカーのパソコンを組み立てる中国の工場=中国・浙江省杭州で |
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| 中国語の商品案内を掲げたドラッグストアで買い物袋を抱える中国人客=九月、大阪市中央区で |
ケン 中国にある日本企業のお店や工場が、デモで襲われているようすをテレビでよく見たよ。
――日本企業が中国で活動するために現地につくった会社は、5000社以上もある。海外全体では約1万9000社あるので、中国に3割近くが集中していることになるよ。自動車や電化製品の工場を建てたり、中国の人向けにスーパーや百貨店を開いたりしている。
ジャン なぜ、そんなに中国にいくのかしら。
――中国は「世界の工場」と呼ばれる。日本やアメリカ(米国)より賃金などが安いため商品を安くつくれることなどから、中国に出る会社が多い。私たちが使う洋服や家電製品は「メード・イン・チャイナ(中国製)」と書いてあるものが多いね。日本から中国へ輸出した部品や機械で商品をつくり、完成した品を日本が輸入することが多い。
ケン 日本と中国の間では、活発に商品のやりとりがあるんだね。
――日本の世界各国との貿易額全体のうち、2割を中国が占める。日本の貿易相手国は長年、米国が一位だったが、2007年に中国が抜いて1位になったよ。中国と日本の関係が悪いままだと、貿易にも支障が出てくると心配されている。すでに、日本の自動車メーカーは、中国で日本車が売れなくなってきたため、生産量を減らすなどしている。
ジャン 中国と日本の間の人の行き来への影響はどうなのかしら。
――真っ先に影響が出ているのが観光だ。中国は9月30日から10月7日まで、「国慶節」という国の誕生を祝う長期休暇だ。多くの人が日本へ観光に来る予定だったが、旅行中止が相次いだ。日本の旅館や観光施設はお客さんが減って困っている。
ケン 観光地に行くと、最近は中国語の看板をよくみかけるよね。
――日本を訪れた外国人観光客は去年、621万人いた。うち104万人が中国からで、韓国の165万人に次いで2番目に多い。中国の人口は日本の10倍の13億人もいる。中国がもっと豊かになると日本に旅行する人も増えるから、日本政府も積極的に招いてきた。
ポン これから、ぼくたちの生活にも何か影響が出てくるのかなあ。
――すぐに大きな影響が出るとは考えにくい。ただ、日本と中国の関係が悪い状態が長引くと、中国で日本の商品が売れなくなったり、中国から日本へ商品が入らなくなったりする恐れもある。中国で商売する会社の売り上げが落ち、将来的にはお父さんやお母さんの給料に響くことなども考えられる。
ジャン こんな大変な問題を、日本の会社はどう考えているのかしら。
――中国で積極的に活動する会社ほど、「困ったことだ」と頭を抱えている。ただ、国の領土をめぐる争いなので、一企業だけでは何ともしようがないとも考えている。
ポン そもそも、なぜこんな争いになったの。
――今回の問題は、沖縄県にある尖閣諸島の土地を持つ日本人から、日本政府が土地を買い取って「国有化」したことが発端だ。この動きに、中国側は「中国の土地なのに」と反発している。政府同士が十分に話し合わないと、経済への影響も解決が難しい。
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