9月21日―28日のニュース

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日中関係 経済にも暗い影

 

貿易や観光にダメージ 徐々に世界経済にも

 

 

 沖縄県の尖閣諸島をめぐる問題は、日本と中国の外交や民間交流の分野だけでなく、経済関係にも暗い影を落としている。日本政府が尖閣諸島の国有化を発表したことを発端に激化した中国各地での反日デモは鎮静化したが、経団連主催で上海で開く予定だった環境展示会や、日中経済協会の代表団訪中など経済交流が軒並み中止に追い込まれた。また、中国で操業する日本の自動車各社が減産に踏み切ったり、団体客のキャンセルが相次いだりしている。



  国内総生産(GDP)で世界第2位の中国と3位の日本。世界経済を引っ張る2国間の貿易額が先細りすれば、世界経済への影響は避けられない。専門家はボクシングにたとえて、「腹部を打たれるパンチのようにすぐにノックアウトされなくても、じわじわと効いてきて、後で受けるダメージはかなり大きい」と説明する。
  今回の日中の関係悪化は、中国経済が減速感を強めつつある中で起きた。中国の8月の輸出は前年同月比2.7%増にとどまり、最大の貿易相手である欧州向けは12.7%減。多くの雇用を生み出す日本企業で混乱が広がれば、中国社会の安定を揺るがしかねない。
  日本の自動車各社では、中国国内での生産を減らす動きが広がっている。反日感情が高まり、中国での日本車の販売に陰りが見え始めているためだ。
  トヨタ自動車は、中国での現地生産計画を10月は白紙とする方針を固めたという。トヨタは昨年、中国で約80万台を現地生産したほか、日本からの輸入分と合わせて約88万台を販売。しかし、今回の尖閣諸島をめぐる問題を受けて、日本車の販売が難しくなっていることに加え、通関検査の強化で日本からの部品供給が滞る可能性も高まっているため、現地生産中止に踏み切った。中国市場の伸びが鈍化しており、在庫を調整する狙いもある。
  10月は中国では「国慶節」に伴う大型休暇があり、工場の稼働日が他の月より少ないことも影響しているとみられる。
  両国間の人の往来でもキャンセルが相次いでいる。
  全日空は、中国路線での9〜11月の予約取り消しが日本発と中国発を合わせて2万人(往復で4万席分)に達したと発表した。新規の予約も伸び悩んでいるという。日本航空も、日中それぞれのツアー客などのキャンセルが増えていることを受けて、中国路線3路線を10月10日〜27日の間、減便すると発表した。
  こうした中、関係を修復するための橋渡し役として、経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)らが27日、日中友好団体の代表らとともに北京で中国政府要人と会談した。2005年に当時の小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したことにより日中関係が冷え込んだ時期も、経団連の当時の会長だった奥田碩トヨタ自動車会長ら代表団が訪中し、関係修復に動いた。
  「一衣帯水」(日本と中国の間には一筋の川などの隔たりがあるだけで、近い隣国同士であるという意味)といわれてきた両国関係。問題の早期解決の糸口を探る動きが続く。

 

野田首相が再選 民主党代表選 21日

 民主党の代表選挙が投開票され、代表の野田佳彦首相が1回目の投票で過半数のポイントを得て再選された。任期は3年。野田首相は「子ども、働く人、地方を元気にして、日本を改革したい」と話した。
  党の意思決定を行う三役には幹事長に輿石東氏を再任。政策調査会長に環境相の細野豪志氏、国会対策委員長には副委員長の山井和則氏が決まった。

 

巨人が優勝 3年ぶり34度目 21日

 プロ野球セ・リーグは巨人がヤクルトに6―4で勝ち、3年ぶり34度目の優勝を決めた=写真は胴上げされる原辰徳監督。1リーグ時代をふくめると、43度目。
  巨人は10月17日からのクライマックスシリーズ最終ステージで、リーグ2位(中日)と3位が対戦する第1ステージの勝者と、日本シリーズ出場権をかけて対戦する。

 

安倍元首相を選出 自民党総裁選 26日

 自民党総裁選が投開票され、安倍晋三元首相(58)が新総裁に選出された。党員・党友による地方票(300票)で過半数を獲得した石破茂前政調会長(55)を、国会議員票(198票)だけによる決選投票で逆転した。決選投票は40年ぶりで、決選で逆転したのは56年ぶり。
  安倍氏は「政権奪還に向けてともに全力を尽くしていく」と決意を表明した。党の役員人事では、石破氏が幹事長に就任、国会対策委員長には浜田靖一国対委員長代理が昇格した。

 

スパコン「京」が本格始動 28日
 理化学研究所のスーパーコンピューター「京」が本格稼働を開始した。大学や国立研究所だけでなく産業界の研究にも門戸を開き、研究課題の公募に対して製薬や化学、ゼネコンなど25件が採択された。
  機械は去年11月にそろっていたが、演算装置どうしがデータをうまくやりとりできるようにしたり、計算を装置に割り振ったりするソフトウエアができていなかった。計算速度のランキングは世界第2位。開発に1120億円をかけ、維持費は年間90億円。


 

21日▽野田佳彦首相が再選―民主党代表選=10月初めに内閣改造へ
    ▽巨人が優勝―3季ぶり34度目=プロ野球セ・リーグ
23日▽国交40年祝典、中止―中国が日本側に通知
    ▽大関・日馬富士が全勝優勝―大相撲秋場所
    ▽「日中関係悪い」日本9割、中国8割 朝日新聞世論調査
24日▽漁船が衝突13人不明9人救助―宮城沖で貨物船と衝突
    ▽一連のオウム事件捜査が終結―高橋克也容疑者を追起訴
    ▽イチロー、2年ぶり週間MVP―移籍後初=米大リーグ
25日▽日中外相、尖閣問題で会談―対話継続で一致
    ▽台湾漁船と巡視船、尖閣諸島周辺の日本領海内に侵入
    ▽八ツ場ダム(群馬県)、本体工事着工へ4年ぶり有識者会議再開
    ▽「和食」を無形文化遺産に―文化審議会、ユネスコへの提案を決定
    ▽秋冬、平年より暖かめ―気象庁予報、エルニーニョ現象の影響
26日▽自民党、安倍晋三元首相(58)を新総裁に選出
    ▽野田首相「領土・領海守る」―竹島・尖閣念頭に国連で一般討論演説
    ▽生活保護受給、過去最多を更新―6月は211万5千人=厚生労働省
    ▽小沢一郎衆院議員の控訴審、即日結審―判決は11月12日
    ▽米国政府、ミャンマーからの輸入解禁へ―経済制裁ほぼ終了
    ▽新横綱・日馬富士が誕生―「全身全霊で精進」
27日▽2人の死刑執行―民主党政権で4度目=確定死刑囚131人に
    ▽日韓外相会談、「未来志向」構築で一致―竹島問題は平行線

28日▽スパコン「京」が本格稼働―産業界で25件活用

 

 
 
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