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FCCJアソシエイト会員を無料で新シェフの料理を食べさせながら最近の協会を取り巻く諸問題を理解して貰おうと言う(これ以下の記事はFCCJ代理人・横木雅俊弁護士に法的措置をとると言われ削除）
今日は敬老の日。65歳以上の高齢者は3000万人を超え、人口のほぼ1/4を占める。団塊の世代が高齢者に到達し始めているから約10年で介護市場の規模は2倍以上になると言う。さらに「食・住」など、介護に関係する裾野の拡大も続いている。高齢者や障害者などに対して、日常生活への支援を行うのが「介護サービス」と言うが少子高齢者社会では介護の問題は年とともに深刻になっている。そこに映画が関心を寄せ始めテーマに取りあげることが多い。
「介護問題とはかけ離れたところに居た人が突如問題に巻き込まれたらどうなるか」をテーマにフジTVで草��剛が主演のドラマが09年から始まっていたとは知らなかった。介護ヘルパーと極道を組み合わせた任侠ヘルパーの映画版はドラマを見ていない僕にはなかなか斬新で面白かった。
大体が介護ビジネスに胡散臭い連中が携わっている。折口雅博などは典型的な例だ。自衛隊上がりが巨大ディスコでヒットしグッドウィル社を買収し介護ビジネスに乗り出す。が忽ちGWG子会社のコムスンが厚生労働省から介護報酬の不正請求を行っていたこと挙げられ、途端に折口の悪事が次々とばれ、介護サービスから撤収した。居酒屋チェーンの渡辺美樹経営の「ワタミの介護」も何か臭う。だから強気を挫き弱きを助ける極道が介護ビジネスに乗り出しても違和感を覚えない。
指定暴力団「隼會」を抜けてカタギになろうと翼彦一（草薙）はコンビニ店員を真面目に勤めていた。同じアルバイト店員の山際成次（風間俊介）は気風の良さと度胸のある彦一を尊敬していた。ある日フルフェイスの男が店に侵入し成次にナイフを突きつけ売上金を寄こせと迫る。昔取った杵柄、彦一はアッと言う間に男を殴り倒し、ヘルメットを取る。男はヨボヨボの老人。同情した彦一は咄嗟に売上金を全部男に渡して逃がしてやる。監視カメラを見た店長は彦一の腕の刺青を知り極道の過去が分かる。だから逃げた男とグルで売上金を奪ったと告訴し彦一は収監される。その刑務所で彦一はあの老人に出会う。蔦井雄三（堺正章）と言い背中一杯に倶利伽羅紋々の刺青。コンビニの礼を言い、困ったら自分が元属していた極鵬会の朝比奈（宇崎竜童）を訪ねろ、と自分の名前を彫った将棋の駒を残して心臓発作で死ぬ。
その2か月後、出所した彦一はコンビニの同僚山際に子分にしてくれと言い寄られている所へ、父雄三の遺骨を引き取りに来た娘の葉子（安田成美）が近寄り父が世話になったと礼を言いそそくさと去る。葉子は母と娘の自分を置き去りにした父とその属した極道の世界を憎んでいる。
特にあてがない彦一は雄三の残した駒を頼りに大海市の極鵬会の朝比奈会長を訪ねる。朝比奈は組頭日吉（杉本哲太）に「うみねこの家」に案内させ1か月で利益を倍にしろと言う。倉庫のようなあばら家に仕切った狭い部屋では動けなくなった老人たちが糞尿にまみれていた。働いているのは口に悪い芦川（りりイ）と言う老婆だけ。そこはまがりなりにも老人介護施設で、老人たちを介護し年金や生活保護のお金をせしめるのが商売だ。老人たちに高利の金を貸してニッチもサッチも行かなくなったところで「うみねこの家」へ入居させて稼ぐと言う二重構造の悪どい商法だった。彦一は忽ち町の老人たちを籠絡して商売繁盛となる。一方ヤクザがシノギに介護ビジネスに介入するのを防ごうと、弁護士から父親の市会議員の地盤を引き継いだ八代照生（香川照之）が大海市を「観光福祉都市」と銘打ち、大きな福祉施設を作ろうと懸命に動き回っている。
極鵬会からシノギで預かった「うみねこの家」の彦一、極道が介護に入って来るのを防ごうとする八代、八代の福祉施設工事に食い込もうとする極鵬会、そして元極鵬会幹部葛井の娘、葉子に惚れぬいている八代と言う関係で物語が展開される。
映画を見ながらジャン・アヌイの「ベケット」を思い出した。12世紀末。ヘンリー2世は親友で遊び友達のベケットと狩猟をしたり、女遊びをしたりしていた。教会がヘンリーを煩く取り締まるのでベケットを「大法官」に任じた。ところがベケットは大法官の職を理解し感動して職を全うしようとヘンリーに厳しく当たり対立する。
極道の彦一が老人たちと接している内に老人たちを保護し養護し介護する重要さに目覚める。シノギを真面目にやって上納金を収めれば良いと言う朝比奈と当然のように対立する。八代はヤクザを福祉施設工事から追い出したため極鵬会に襲われ重傷を負う。葉子は彦一に惹かれ母親を八代の紹介を受けた見かけこそ立派だが老人たちを極鵬会同様に食いものにしている特別養護老人ホームから連れだし「うみねこの家」に入れる。縦糸にヤクザの介入する介護ビジネスに横糸が葉子を巡る八代と彦一の鞘当があって物語が複雑に絡み興味は増す。
ＴＶ特番のような映画なので後半に出て来る美女、四方木りこ（黒木メイサ）が何者か分からない。白いベンツに乗り大海市に駆けつけ彦一に手を差し伸べる。草薙のヤクザも上手い。乱暴な言葉使いの中に暖かい心が潜んでいる。
西谷博は「県庁の星」「容疑者Ｘの献身」など堅実な作品を送り出している中堅の監督。
ヤクザの介護ビジネスと言う視点が目新しいので2時間を遥かに超える長尺だが飽きもせず最後まで引っ張る。
11月17日より東宝系で全国公開される。
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