過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

2012年9月19日

←2012年9月18日 | 2012年9月20日→

全1ページ

[1]

「次の朝は他人」(THE DAY HE ARRIVES)(韓国映画):ソウルでの嘘つき多情男の三日間

 今夕開かれるFCCJアソシエイト会員招待食事会はオブザーバーとして参加できないか週末に問い合わせをしているが未だ返事がない。。(これ以下の記事はFCCJ代理人・横木雅俊弁護士に法的措置をとると言われ削除)


 韓国映画の水準の高さは今年のベルリン映画祭でキム・キドク監督が「ピエタ」で金獅子賞を獲ったことで代表される。グランプリの盾を手にキドク監督は舞台で「アリラン」を唄い踊ったことはブログでも書いた。「アリラン」はピエタの前作で、撮影中に怪我を負わせたキドク監督が山小屋に引き籠って自らを責め、瞑想する自画像を、HDカメラを設置して1人で撮ったもの。エンタメ要素も何も無いキドク監督ファンのためのような作品。それでも監督への評価は高まる。
 キドク監督と並んで映画はヒットしないがアートフィルムとして評価が高いのがホン・サンス監督。グランプリこそ獲っていないがカンヌ、ベルリン、ヴェネチア、ロッテルダムと映画祭に招かれているサンス監督。特にヨーロッパでのアートハウスでは人気者で次いで日本でも上映されている。本土の韓国では名前だけで小屋はガラガラと聞く。カンヌ国際映画祭で『殯の森』でグランプリを受賞した河瀬直美監督の作品がどれ一つ商売にならないのと同じだ。(河瀬作品を必ず上映していた渋谷シネマライズは倒産してしまった)
 
 彼の映画はどこにでもいる男女の会話や行動、特にロマンティックなやりとりをさり気なく描く。
 今回は一目惚れを描く「ハハハ」(2010年)3篇のオムニバスで三角関係を語る「よくも知らないくせに」(2009年)そして今回取り上げる、出会いと別れを繰り返す「次の朝は他人」(2011年)を一挙に見た。今年のカンヌ映画祭の「ある視点部門」に出品した作品だ。
 面白いことに3作に共通しているのは主人公が監督。だが今は何も撮っていなく地方の大学で教えている。

 地方の大学で映画を教えているソンジュン(ユ・ジュンサン)。4本の監督作品があるが長い間映画を撮っていない。今にも雪が降りそうなソウルにやって来たのは映画評論家の先輩に会うため。しっかりした約束をしていなかったので連絡がつかない。一人で酒を飲んでいる居酒屋で映画を学んでいる学生たちと意気投合して引っ張りまわす。その内飽きが来て彼らを撒いて2年前に別れた恋人キョンジン(キム・ボギョン)のアパートを訪ね「会いたかった」「淋しかった」「まだ愛している」など連発して一夜を過ごす。翌日ようやく会えたヨンホ先輩(キム・サンジュン)は自分を慕うポラム(ソン・ソンミ)と言う女性大学教授と一緒だった。誘われるままに食事をし酒を飲み、二次会は「小説」と言う名のバーへ行く。そのバーはいつも客が先に来て勝手に酒を飲み、バーのママは後からやって来る。ソンジュはママ(キム・ボギョンの二役)が元恋人にそっくりなのに驚き忽ち惹かれる。

 モノクロで今にも雪が降りそうなソウルの裏町をカメラは追う。繰り返し同じようなシーンが出て来る。ソウルに着くや否や居酒屋での飲み食い、元恋人との飲み会、先輩と教授と食事と飲み食い。ビール、真露、マッコリの白い濁り酒。金属の箸でつつく幾つもの小皿に盛られた韓国独特のつき出し。ソンジュの弾く下手なピアノ。街角で絶えず出会う映画科学生たち、ファンの女性など飲食以外でも繰り返し繰り返し同じようなシーンを積み重ねて行く。元恋人やママとのロマンス。歯の浮くようなセリフと明日は別れなければならないとの口説き文句(?)。最後はソウルを出港する船での別れも嘘つき多情男が悲嘆に暮れても感情移入が起こらない。そしてそれが監督の思惑であり企画意図なのだと思う。
 アメリカで映画制作を学び、フランスで映画鑑賞に明け暮れて96年に「豚が井戸に落ちた日」(1996年)でデビュー。今年52歳のホン・サンス、この作品が監督・脚本の12作目だ。
 
 「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」と銘打ってカンヌ・ヴェネチアなどの常連、サンス監督の4作品を11月10日よりシネマート新宿他で公開される。

開く コメント(0)

開く トラックバック(0)

全1ページ

[1]


.

kj3*96*12
人気度

ヘルプ

Yahoo Image

  今日 全体
訪問者 180 204994
ブログリンク 0 13
コメント 1 1432
トラックバック 0 167
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

PR

carview愛車無料査定


プライバシーポリシー -  利用規約 -  ガイドライン -  順守事項 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2012 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事