私がFCCJG政権の行状を知ったのは7月11日だった。それまでは何も気付かず週2〜3回バーやダイニングルームで飲んだり食ったりのノンシャラン会員だった。精悍だが暗い容貌で眼だけが異様に光るNさんに初めて会った。その日彼は会員資格停止3か月をG政権理事会から言い渡された(以下FCCJ代理人・横木雅俊弁護士に法的措置をとると言われ削除)
映画の冒頭に説明がある。史上最高の劇作家、ウィリアム・シェイクスピア。書いた戯曲37作品、ソネット154篇物語詩教編は英語における究極の表現とされる。しかし彼の生涯は謎に包まれ、シェイクスピア本人の自筆の原稿は見つかっていない。原題「ANONYMOUS」は作者不明とか無名を意味する。
現代のロンドン・ウェストエンドの劇場で一人の紳士(デレク・ジャコビ)が語り始める。我らのシェイクスピア―「時代の魂」の存在は謎だ。もう一人のシェイクスピア、オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア(リス・エヴァンス)の作品とは何か?エリザベス一世(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)統治下のロンドンで一人の男が逃げ回るが官憲に捉えられロンドン塔へ送られる。劇作家のベン・ジョンソン(セバスチャン・アルメストロ)が尋問されている。「オックスフォード伯がお前に渡した作品を何処に隠した?」
市民も貴族も芝居に夢中になっていた。この風潮を不快に思っている人物がいた。エリザベス一世の宰相として権力のトップにあるウィリアム・セシル卿()とその息子ロバート(エドワード・ホッグ)だ。セシルは芝居を悪魔だと決めつけ舞台に影響され扇動された市民が政治に影響を与え始めると懸念していたからだ。オックスフォード伯はサウサンプトン伯(ゼイヴィア・アミュエル)を連れて評判のベン・ジョンソンの芝居を見ている最中にセシルの兵隊がなだれ込み作者や役者、観客までも取り押さえた。辛くも逃れたオックスフォード伯の目には観客の熱狂が焼きついた。彼はサウサンプトン伯に女王が愛した芝居を贈って女王に近づく。その芝居は「パック」と言う妖精の物語(「真夏の夜の夢」)で、女王に若き日(ジョエリー・リチャードソン)を思い起こさせる。作者は少年時代のオクスフォード伯でパックは伯爵の分身だ。
シェイクスピアは実はオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアでは無かったかと言う実証が次々と出る。40年振りに女王に謁見したオックスフォード伯はソネットを贈り新作「ヘンリー三世」によって民衆に火をつけようとする。
女王の後継者を巡ってセシル一派とオックスフォード伯たちの争い。政治がらみで民衆を焚きつける芝居に自分の名前を出せない事情。
晩年伯爵は貧しい暮らしの中でも執筆を続け総ての著作をベン・ジョンソンに渡して生涯を閉じる。
例えば「ハムレット」の作者はシェイクスピアでは無く、エリザベス女王自身とかフランシス・ベイコン、クリストファー・マーロウなどの説があるがこの映画では最も有力なのはオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアで政敵のために「ANONYMOUS」で書いたものをシェイクスピアの名で世に出したと言う説を映画化している。
監督のエメリッヒ・ローランドは「ID4」「デイ・アフター・トゥモロウ」など特殊効果を多用して大アクション映画だけが得意だと思っていた。コスチュームプレイなど関心が無いと。しかしこんなチューダー王朝の歴史で王位継承を巡る政治と陰謀の中にシェイクスピア他人説を唱える複雑な映画を理路整然と仕上げている。エメリッヒ監督のベスト作品ではないだろうか。
主役のリス・エヴァンスなど映画界では知られていないが、イギリスの舞台劇の名優たちとドイツ人監督は見事な謎解きをしてくれた。
12月22日よりTOHOシネマズシャンテ他で公開される。
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