大変な事件が外国特派員協会(FCCJ)で起きた。ジョージ・バウムガルトナー会長が(これ以下の叙述は外国特派員協会(FCCJ)会長バウムガードナーの警告により削除)
さて、今日の映画はあのエイブラハム・リンカーンが、国家の分裂を防ぎ、奴隷を解放したメイ大統領が昼の顔で、夜はヴァンパイア・ハンターだったと飛んでも無い発想の映画。笑ってしまうが、リンカーンは子供時代から秘密の日記をつけていたと。原作と脚本を書いたセス・グレアム=スミスは少年時代から闇の勢力と戦い続けたと言う日記を読んで着想したと言う。若い時に母親をヴァンパイアに殺されその復讐に生涯を費やした大統領を書いて見ようと。セスはこの後、この作品の製作者、ティム・バートンと組んで「ダーク・シャドウ」の脚本を書いている。
開拓農民の子にうまれたエイブ・リンカーン。少年時代に母親を死に至らしめた地元の富豪、ジャック・バーツ(マートン・ソーカス)を憎む。いつか母の仇を討ってやると心に刻む。成人したエイブ(ベンジャミン・ウォーカー)はバーツを待ち構え銃弾を撃ち込むが倒れるどころか、逆襲されて重傷を負う。支援の手を差し伸べたのはヘンリー・スタージェス(ドミニク・クーパー)で金持ちのヘンリーは情報網が豊か。バーツは吸血鬼で(だから弾に当たっても死なない)多くのヴァンパイアがアメリカ社会に入り込んでいると説明する。 ヘンリーはエイブに彼らを絶滅する「ヴァンパイア・ハンター」にならないかと持ちかける。「母を奪ったヴァンパイアを倒すためなら何でもする」と復讐を決意し、ヘンリーの下で使い慣れた斧を武器にあらゆる武術を身につける。
1837年イリノイ州スプリングフィールドに移住し昼は雑貨屋に務め法律の勉強をすると同時に夜はハンターとして活躍する。そんな頃メアリー(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)と出会い恋に落ちる。また幼馴染のウィル(アンソニー・マッキー)を仲間に加え宿敵バーツへの復讐を成し遂げる。しかし更なる強敵、ヴァンパイアの首領アダム(ルーファス・シーウェル)が現れエイブとの死闘が始まる。
弁護士から州上議院議員、連邦上院議員(オバマ大党領もイリノイ州スプリングフィールドからリンカーンと同じ道を歩む)と経て大統領に就任し忙しい政治に没頭するが、やがて奴隷制度存続をかけて国家を2分する「南北戦争」が始まる。政治家として史実に忠実に描かれて来た映画は突如、リンカーンが南軍はヴァンパイアに支配されていることに気付くことから様相が一転する。昼の北軍を指揮する大統領の顔と夜のヴァンパイア・ハンターの顔が一緒になるのが映画のキモだ。
戦闘のアクションシーンは特殊効果満点で凄絶に描かれる。クライマックスはゲティスバーグにヴァンパイアを殺戮する銀製の武器を輸送する汽車での激闘。深い渓谷にかかる木製の高い橋に列車がさしかかるとヴァンパイアたちは橋に火を放つ。橋が崩れながらも間一髪で走る続ける列車は貨車や客車部分は火に包まれて渓谷に落下、機関車だけが残って更に死闘は続く。思わず椅子のヘリに身体を乗り出す。 監督はソ連邦カザフスタン生まれでロシア興行界最高のヒット作となった「ナイトウォッチ」と「デイウォッチ」のティムール・べクマンベトフ。ハリウッドに招聘されてA・ジョリーの「ウォンテッド」で注目された。これからアメリカで撮り続けるだろう。
ゲティスバーグでの「人民の人民のための人民による政治」などの名演説は大団円でたっぷり聞かされる。そしてあの運命の劇場へ向かう馬車が走りだす。
歴史劇かアクション劇か、いやホラー劇と言うべきか、夏の夜のパスタイムとして、奇想天外なエイブラハム・リンカーン大党領のB級恐怖映画も悪く無い。
11月1日よりTOHOシネマズ日劇他で全国公開される。
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