毎朝6時36分我孫子始発の千代田線に乗る。最後尾優先席の奥の隅、バーで仕切られた最上席に座る30代前半の男が毎朝いる。途中混んで松葉杖や老人、妊婦が前に立つと眠ったふりをして席を譲らず日比谷駅までの小1時間、iPodで音楽を楽しんでいる。今朝、思い切って聞いて見た。「失礼ですが身体が何処かお悪いのですか?」「別に。。。」「ならばあちらの健常者席が一杯空いているのだからそちらへ移られたらどうですか?」「誰か年寄りが来たらあけるよ」と、それからは目を瞑って僕を無視。今朝もお年寄りが彼の席の前に立っていた。
この1年、彼を観察しているが譲った光景を見たことが無い。優先席は今や「若者の席」だ。そしてこの手の類の若者は一杯いる。情けないねー、日本。
「耳袋」とは江戸中期の根岸鎮衛の著作で色んな人たちから聞いた雑談を随筆にしたもので、巷間の噂の怪談を纏めたものだ。BS-TBSで好評のいくつもの短編からなる番組を劇場映画化したもの。2003年から殆ど毎年夏に公開していてこの作品で7作目になる。僕は全作品を見ていないがお化けや幽霊はどんなものでも怖い。今まで黒川芽衣など新人時代の女優達が主演をしているが、スマイレイジなる少女たちのグループが4本の短編の主役を勤める。しかしどうしてこうブスばかり集めたのだろう?つんくがプロデュースすると聞く13歳から17歳の少女たちは歌を聞いたことが無いがセリフもままならず表情も強張り演技は素人。「日本一スカートが短いアイドル」がキャッチフレーズと言うことは顔の美醜は問題では無いようだ。
例によって幼稚な脚本、下手な演出、稚拙な演技のオンパレードのB級作品だが、それでも面白いのがひとつある、第3話の「部屋替え」だ。
母(いしのようこ)が高校生の娘モモカ(福田花音)に自分たちの大きな部屋へ移って良いよと優しい提案。1階の狭い勉強部屋に飽き飽きしていたモモカは「ラッキー!」と早速荷物を2階の夫婦の寝室だった部屋へ運び込む。新しい部屋にはケチな叔母が奮発して送ってよこした豪華な三面鏡がある。その夜三面鏡は独りで開き、その中に歯の抜けた不気味な老婆が映っている。。。
何と両親の部屋変えは老婆に襲われたからだ。酷い親がいるものだ。もっと酷いのは妻が布団の中へ引きずり込まれていて「貴方助けて!」と大声を出すのを「寝たふり」をして何もしない夫。「怖くてそれどころじゃない」と夫のセリフは大笑い。全編こんなユーモアに包まれた展開なら優れた作品だが、これ一遍のみ。2話の「赤い人」など噴飯もの。単にスパイダーマンを赤く塗ったような男がマンションに忍び込み暴れるだけ。1話の「おさよ」は少しマシ。新人アイドル・シオリ(和田彩花)のデビューの写真集ロケで山奥の宿に大昔心中した男女の幽霊が現れる。宿の女将が慣れたもので、二人に塩を撒くと「ナメクジ」みたいに熔けるのが面白い。だがそれだけ。主役の和田彩花の大きい締まりの無い顔だけのブスなこと。これがアイドルとはつんくの審美眼は狂っていないかい?上記の話の前述譚、「和人形」はシオリへの焼き餅に人形を廃墟において脅かすが、人形に命が宿って脅迫が逆効果になる。
監督はBS−TBSでこのシリーズを撮り続けている井口昇。もっと大人の上手い役者を使って撮りたいだろうなと想像できる。幼稚園の先生は飽きたろう。
8月1日よりシアターN渋谷で公開される。
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