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「ダークナイト・ライジング」(The Dark Knight Rises)(アメリカ映画):8年間蟄居していたバットマンは1200万人を人質にとった悪魔のベインに対抗出来るか?

 昨夜(17日)の丸の内ピカデリー1劇場の試写会は近来に無い混雑振りだった。立ち見こそ出なかったが満員の盛況。2時間45分の熱気に包まれたバットマン活劇が終わると拍手が湧き起る。
 クリストファー・ノーランはこの「ダークナイツ」3部作でハリウッド切っての名監督の地位に上り詰めたと言える。3部作はスパンをかけて連続したストーリーになっており壮大なスケールの展開となっている。アクションスターとは思えない温和なクリスチャン・ベールをバットマンに登用した05年「バットマン・ビギンズ」から始まり、08年の「ダークナイト」では悪役ジョーカーを演じたヒース・レジャーが急死したことも拍車をかけワールドワイドで10億ドル(8千万円)を超す興行成績を記録した。今週末にこの三部作の最終章を北米での公開を待つ。前作に劣らず10億ドルを突破するのではないかと思うほど興奮するし面白い。それにベールやマイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマンなどのレギュラー陣に加えてアン・ハサウェイやマリオン・コティアールなどの美形の色香が加わりバットマン以上の活躍をするから堪らない。

 タイトル前プロローグで空中での犯人護送のCIA双発機を襲う大型飛行機のハイジャックシーンに度胆を抜かれる。空を飛ぶ飛行機を丸ごと上空からロープで補足してエンジン、翼、胴体をバラバラにし、乗員を皆殺しにする。首謀者は口の周りだけカマキリの歯のような不気味な黒いマスクをつけたベイン(トム・ハーディ)でくぐもった低い声はダースベイダーのようだ。
 前作で悪役だったトゥ・フェイスことハービー・デント検事を称える偲ぶ会。バットマンが世間向けに悪役を引き受け、デントを正義の英雄として姿を消したのだ。ゴードン市警察本部長(オールドマン)は実はバットマンは悪くないと発表する積りだったが聴衆がデントを余りにも称えるので止める。デントの死から8年、富豪ブルース・ウェインは一歩も外へ出ず鬱々と豪邸に閉じこもっている。執事アルフレッド(ケイン)は外へ出てバットマンに戻ることを勧めるが復帰する意志は全く無い。我が家で開かれたパーティにすら顔を見せない。蟄居している部屋にメイドに扮したセリーナ・カイル(ハサウェイ)が食事を届ける。ついでに部屋をうろつきまわる。ウェインが入って来て彼女のドレスに似合う真珠のネックレスを褒める。「でもそれは母の形見の品だ」セリーナはウェインの金庫を易々と開け真珠を盗み出した他、金庫内のウェインの指紋や掌紋を採取していたのだ。見抜かれても慌てず悠々とウェインの目の前から逃走する。

 ハサウェイはいつものブランドものを着飾る役とは縁遠いキャット・ウーマンのような怪盗で金持ちから盗みまくる義賊だと嘯く。ウェインの周りに出没しベインについて敵になったり、裏切ってウェインの味方になったり忙しい。もう一人活躍する女性、ミランダ・テート(コティラード)はウェインの企業の
立て直しのためウェインに代わりCEOを引き受ける。ベインは株式取引所を襲い盗み出したウェインの指紋を使い株の大取引を行い破産させたのだ。ベインの陰謀は更にウィインの企業の平和利用の核を使った商品を安定装置から取り出し、メルトダウンを起こさせる時限装置仕掛ける。傭兵の大軍を地下水道に集結させマンハッタン島に掛かる橋やトンネルを破壊し封鎖して1200万人の住民を人質に取るテロリスト集団だ。
 ウェインもバットマンに変身してベインと対抗し戦わねばならなくなる。この間執事のアルフレッドは立ち上がらないウェインに業を煮やして赤ん坊の時から面倒を見て来たウェインの許を去る。

 バットマンの最新ヴィークル「バット」は凄い。地上を走るのは勿論ヘリコプターのように空中に舞い上がり、高層ビル群をスターウォーズのように駆け巡る。だが8年もの長い間蟄居していたバットマンは肉弾戦ではベインに完膚無きまでに叩きのめされ、深い大きな井戸のような地獄の監獄に叩きおとされる。ここから身体を鍛え腕力を養ってかつて子供が一人登ったことがある地獄から抜け出すのだ。タイトル「ダークナイト・ライジング」の謂われだ。

 ベインと言う知恵も廻る腕力も凄まじい悪魔との肉弾戦は手に汗握る。やはりアクションは銃で撃って命を奪ってしまっては呆気無い。殴る蹴る組み伏せる肉体同士の鬩ぎ合いが迫力ある。メルトダウンが始まっていて核爆発間近の爆弾を自動操縦の効かない「バット」に牽引して遥かマンハッタンを離れた沖で爆発させ殉死するバットマンのヒロイック・スピリットに涙する。
 脚本・監督のクリストファー・ノーランはこのシリーズでルーカスやスピルバーグ、コッポラに並ぶ大監督の座を占めたと思う。

 2時間45分、ノン・ストップのアクション。制作費は巨額の200億円も投資した美術や特殊効果は見事、脇役にもスターを使って豪華な配役陣だ。しっかりとしたコンセプチュアルな基礎の上に立ち3部に亘る大河ストーリーはズシンと観客の胸に訴える。競争相手のマーベル・コミックはこのバットマンに較べれば「アイアンマン」も「キャプテン・アメリカ」も「ハルク」も総集編「アベンジャー」も子供騙しの漫画に見える。
 
7月28日より丸の内ピカデリー1他全国公開される。
 

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