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さて今日の映画は、自殺したい「被害者」をインターネットで捜し、自殺をほう助する事件は大きなニュースとなった。岩井俊二は新聞で読んだこの事件を基に「殺人者」と同じ思いを持つ「自殺願望者」が集まる会合に行き同じゴールに向かう手助けをしたらどうなるか、を脚本にしたと言う。
カナダの俳優を使いカナダで撮ったヴァンパイア。今までのヴァンパイアとは全く違う。太陽やニンニク、十字架などは怖くは無い。主人公サイモン(ケヴィン・ゼガーズ)は高校の生物を教える眼鏡をかけた目立たない普通の教師。
ネット上でプルートと名乗るサイモンは車でゼリー・フィッシュ(ケイシャ・キャッスル=ヒューズ)と名乗る若い女性を拾う。見知らぬ同士共に死のうとしているのだ。最高の死に方をしたいと望む彼女に彼は穏やかに死ねる特別な方法があると提案する。血を抜くのだ、血は3リットルも抜けば確実に死ねると。サイモンは1リットル瓶の血を飲む。気色が悪いが彼も吐いてしまう。本当にヴァンパイアか?
ヴァンパイアの熱狂的信者のレインフィールド(トレヴァー・モーガン)とその仲間が集まるパーティに参加するサイモン。ドラキュラ映画を見ているうちに眠ってしまう。目覚めて彼に誘われ街に出る。レインフィールドがドラキュラの服やケープを着て女性を襲うのを見る。
ネットで標的に選んだターゲットにより集団自殺に巻き込まれる。生き残ったレディバード(アデレイド・クレメンス)と森を抜け出すが、彼女に自分はヴァンパイアだと告白する。彼女はもう一度自殺をしたがる。
日本人女優、蒼井優はサイモンの教え子ミナとして登場し、やはり自殺を試みる。
蒼井も含めて自殺志望者は皆見目麗しい若い女性。冴えないサイモンも張り切る訳だ。サイモンは基本的にはヴァンパイアでは無いが自殺志望者やレインフィールドのドラキュラ狂たちと交わっている内にヴァンパイアに昇華して行く自分を感じるのだ。自分の妄執(オブセッション)に振り回されている。客観的に見れば単なる「自殺ほう助者」に過ぎないのだが、孤独な魂を持つ自殺者たちを心から愛おしんでいる。
9月15日より渋谷シネマライズ他で公開される。
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