女子大生派遣モデル殺害 男は初公判で起訴事実を一部否認
モデルの仕事の依頼を受けて向かった先で女子大学生が殺害された事件の初公判が、1日に行われた。被告の男は、法廷で「わいせつ目的については事実と違う」と起訴事実を一部否認した。
女子大学生の朝日 なつみさん(当時21)を殺害したなどとして、殺人と死体損壊・遺棄、強制わいせつ未遂などの罪に問われているのは、丹羽雄治被告(47)。
1日、裁判員裁判による注目の初公判が名古屋地裁で開かれた。
丹羽被告は、白のワイシャツに青のネクタイ姿で法廷に姿を現した。
罪状認否で、丹羽被告は、2011年8月に愛知・一宮市の自宅にモデルの朝日さんを呼び出し、ナイフで首を刺し殺害したことなどについて問われると、「おおむね間違いありませんが、わいせつ目的については事実と違います」と、淡々とした口調で殺害については認めたものの、わいせつ目的については、起訴内容を一部否認した。
続いて行われた冒頭陳述で検察側は、丹羽被告の犯行動機について、「去年6月ごろから、被告人は女性モデルをビデオカメラで撮影するなど、わいせつな行為をすることを決意した」と指摘した。
丹羽被告は、朝日さんを殺害する以前にも、同じように「マッサージ店のオープン用のメニュー撮影用」とうそをついたうえで、愛知・名古屋市内の別のモデル事務所にも、女性モデルの依頼をしていたという。
名古屋市内の別のモデル事務所の人は「(丹羽被告は)撮影するときにモデルを使いたいと、何人かリストアップしてほしいと。一宮の方まで、わたしが(モデルを)運びますと申し出たら、(仕事を)断られて」と語った。
そして2011年8月、一宮市にある自宅に朝日さんを呼び出した丹羽被告は、「背骨の矯正をします。とりあえずうつぶせに寝てください」などと朝日さんをだまし、その両腕をひもで縛り上げたという。
さらに検察側の冒頭陳述によると、丹羽被告はこの際、「指示に従うだけできょう帰れますし、命の保証もします。少しでも声を出したらナイフで首を切ります」などと書かれた紙を見せ、朝日さんを脅したという。
これに対し、朝日さんが声を上げて抵抗したため、丹羽被告は、警察に通報されることを恐れ殺害したと、検察側は指摘した。
この間、丹羽被告は目を伏せて聞いていた。
一方、弁護側は「朝日さんを縛ったこと自体が、背骨を矯正するためだった」と、わいせつ目的ではないと反論した。
そのうえで弁護側は、丹羽被告は朝日さんが悲鳴を上げるなどしたため、とっさにナイフを突き出したとして、偶発的犯行だったと述べた。
判決は10月15日に下される予定。