"朝ドラ"のおばあちゃん 後編

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誰もマネできない!?
個性派おばあちゃん続々...


番組ノート

 2011年の4月まで放送した『てっぱん』は、ヒロインとその祖母が心を通わせていく姿を描いた物語。豊富な人生経験を持つおばあちゃんが、時にヒロインを励まし、時に厳しく見守っていくエピソードはこれまでの朝ドラでもたびたび描かれてきた。そこで前回に続き、今週は近作の朝ドラから個性派おばあちゃんに注目し、紹介していく。

 (2010年12月の記事です)

 

2010年12月6日(月)

いつまでも輝く!エイジレスなおばあちゃん

 連続テレビ小説には、個性的な祖母も多く登場。戦後の女性の生き方を描いた『かりん』(1993~94年)で岸田今日子が演じた小森晶乃は、ロマンチックで映画好き。孫であるヒロイン・千晶には「新しい時代の女性」になってほしいと望む自由な考え方の持ち主だった。また、『ちゅらさん』(2001年)で平良とみが演じ、語りも務めた"おばぁ"こと古波蔵(こはぐら)ハナも、元気で自由奔放。年齢を感じさせない元気いっぱいのキャラクターで人気を博した。


   
小森晶乃を演じた岸田今日子              古波蔵ハナを演じた平良とみ

 祖母の役は初めてという岸 惠子が『こころ』(2003年)で演じたのは、浅草の老舗鰻店のおかみ・清野いづみ。岸は、周囲の誰もが認めるイイ女であるいづみを「自分の思い描く自由なエスプリを持った人」として演じた。 
 『こころ』の岸と同じく、『風のハルカ』(2005~06年)では朝丘雪路が初のおばあちゃん役に挑戦した。東京・銀座生まれの朝丘は、地方に住む女性を演じるのも初めてだったとのこと。湯布院に暮らす神崎ちい役に「自分とは全く違う役柄を演じられて楽しい」と笑顔を見せていた。

   
清野いづみを演じた岸惠子(左)             神崎ちいを演じた朝丘雪路


  夫の死後、単身スペインに渡った行動力の持ち主は『ちりとてちん』(2007~08年)の和田小梅。演じた江波杏子は役について「年老いて穏やかというよりも生き生きとしていて、死ぬまで"現役"という感じ」と話し、役柄を楽しんでいるようだった。


和田小梅を演じた江波杏子

 

愛情深く厳しいおばあちゃん

 母方の祖母・長沼うららと父方の祖母・南田薫乃(ゆきの)のやりとりが見どころだったのが『ひまわり』(1996年)。福島弁で味のあるうらら役を演じたのは佐々木すみ江だった。「薫乃役の藤村さんとは何かと対比がありますが、とてもいいコンビ」と共演について話した佐々木。一方、"谷中のマドンナ"おばあちゃま・薫乃を演じた藤村志保は「和服も洋服も似合うよう髪を短く切りました」と役作りについて語っていた。そんな藤村は『てるてる家族』(2003~04年)でも登場。朝ドラ2度目の祖母・岩田ヨネ役は時に辛辣なことも言う昔気質の人物で、藤村自身「これまでにない役を楽しみたい」と意欲十分だった。

   
長沼うらら役の佐々木すみ江(右)と          岩田ヨネを演じた藤村志保
南田薫乃役の藤村志保(左)

 伝法で男勝りの気丈な女性・大滝ハツコが登場したのは『天うらら』(1998年)。演じた池内淳子は「今まで全く縁のなかった役どころ。お引き受けするには清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟が必要でした」と話した。ヒロイン・川嶋うららが大工を目指す中で、時に高いハードルとなり、大きな知恵袋となったハツコ。骨粗しょう症で倒れながらも、パワフルに立ち上がっていくその姿に勇気づけられた人も多かった。
 『やんちゃくれ』(1998~99年)で造船所の隆盛に尽くした"ゴッド・マザー"水嶋ハルを演じたのは、八千草薫。『風見鶏』(1977~78年)、『ロマンス』(1984年)、『君の名は』(1991~92年)と、3作品のナレーションを務めたものの、朝ドラ初出演だった八千草は「優しい反面、厳しく孫をポンポン叱ったり、結構強情っぱりなところがあるようでとてもおもしろそう」と芯の強いハル役を楽しみながら演じていた。

   
大滝ハツコを演じた池内淳子                水嶋ハルを演じた八千草薫

また、昨年放送の『つばさ』(2009年)では吉行和子がヒロインの祖母で老舗和菓子店の女将・玉木千代を演じた。店を守ることにこだわるあまり、娘や孫に厳しく接してきた千代がだんだんと変化していく姿も共感を呼んだ。


玉木千代を演じた吉行和子

 

 女性の生き方がテーマとなることの多かった連続テレビ小説では、ヒロインの人生の大先輩である祖母の描き方も作品によってさまざま。近作を挙げただけでも革新的な人物から典型的なおばあちゃん像まで、魅力的な祖母の姿が物語に深みを与えてきたことが分かる。

ちなみに、『てっぱん』で祖母の初音を演じる富司純子は、『天花』(2004年)でヒロインの夫となる鈴木竜之介の祖母・美子役を演じていた。保育園の園長をしている美子は、やがてヒロインの天花の生き方に大きく影響していく存在だった。


連続テレビ小説に登場したヒロインの祖母

連続テレビ小説(放送年)     ヒロインの祖母(俳優名)

『かりん』(1993~94年)      小森晶乃(岸田今日子)
『ひまわり』(1996年)       長沼うらら(佐々木すみ江)、
                     南田薫乃(藤村志保)
『天うらら』(1998年)        大滝ハツコ(池内淳子)
『やんちゃくれ』(1998~99年)  水嶋ハル(八千草 薫)
『あすか』(1999~2000年)   藤吉志乃(有馬稲子)
『ちゅらさん』(2001年)       古波蔵ハナ(平良とみ)
『さくら』(2002年)       神山はま(中村メイコ)、松下淑子(津島恵子)
『こころ』(2003年)         清野いづみ(岸 惠子
)『てるてる家族』(2003~04年) 岩田ヨネ(藤村志保)
『わかば』(2004~05年)     村上のぶ(南田洋子)
『ファイト』(2005年)        高倉佳代(三林京子)
『風のハルカ』(2005~06年)   神崎ちい(朝丘雪路)
『ちりとてちん』(2007~08年)  和田小梅(江波杏子)
『だんだん』(2008~09年)    田島初枝(三林京子)
『ゲゲゲの女房』(2010年)    飯田登志(野際陽子)

みなさんからの投稿

「ひまわり」で、のぞみ嬢ちゃん(欽ちゃんが語りとして声を担当していた飼い犬のリキは、のぞみのことをこう呼んでいましたね)がそれぞれのおばあちゃんを「ゆきのちゃん」「うららちゃん」って呼んでいたのが可愛かったです。
可愛いといえば、主人公のおばあちゃんではないけれど、「わかば」での若葉ちゃんのご主人(雅也さん)のおばあちゃん・渚さんも可愛かったなぁ~。
チアリーディングをしてるっていう設定で。
雅也さんの大好物が「おばあちゃまのオムライス」で(笑)。
やっぱり“おばあちゃん”の存在って和みますね。

(更紗)

投稿日2010年12月06日 21:22


アカイさん、おはようございます。
"朝ドラ"のおばあちゃん 前編後編を読んでたら、番組の向こうにその頃の自分や、二人の祖母のことなどいろいろ思い出して、なんだかポロポロです。
大河ドラマと朝ドラはいいね。直接、物語の情景と、その当時の思い出が結びついていて、キュンとしますね。
私、『かりん』の岸田今日子さん、好きやったわあ。懐かしいわあ。それに、『ちゅらさん』の平良とみさん、今でも好きやけど、初めてテレビで拝見した時、手を見た時にね、あ、おばあちゃんの手やっと思ったのが懐かしい。祖母の懐かしい手と同じ感じだった。
今の『てっぱん』の富司純子さん、筋が通っていて凛としていて、いけずかな、まあ、頑固ではあるけど、祖母というより母を思い出す所が自分の年齢を感じるけれど、大好きです。
アカイさんノート、いつも楽しみにしています。ありがとう。では。

(雪うさぎ)

投稿日2010年12月07日 06:16


あ~あ、「カーネーション」終わっちゃうのね~。
おばあちゃんになった糸ちゃんが朝ドラ見てたり、朝ドラのモデルになりたいからNHKの人(受信料の集金の人?)に言うたってんか、なんて場面もあって面白かったです。
やっぱり“おばあちゃん”キャラって最強!
怖いものなしですね。
千代さん(糸ちゃんのおかあさん)もおばあちゃんになってから天然キャラ爆発してましたよね。
あ~、でもサイコーだったのはハルさん(正司照枝さん)ですねぇ~。
空襲警報が鳴ってるのに怖がって避難出来ない縫い子のトメちゃんに、ハルさんが「ウチもこの家におる!」って言ったら、トメちゃんもさすがにおばあちゃんを巻き添えにするわけにもいかず「おばあちゃんを燃やすワケにいかないんですっ!」って言う場面が強烈だったわ~。
あと、疎開するのを最後まで抵抗してたんだけど、とうとう大八車(?)に無理矢理乗っけられちゃったハルさんの一言「覚えとけよ~っ!!」は笑ったなぁ~。

(更紗)

投稿日2012年03月29日 21:19


朝ドラのおばあちゃんって言ったらやっぱり「信子とおばあちゃん」のおばあちゃんだと思うんですけど、このリストにはこの作品が入っていないようですね。どうしてですか?


(RIO)

投稿日2012年09月10日 17:54


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アカイさん

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個性あふれる主人公が魅せる
あざやかな推理&犯罪捜査

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アカイさんとは?

一見さえないけれど、実はNHKのアーカイブス番組のことなら何でも知っている謎のおじさん。

アカイさんが書きつけてきた、番組資料の膨大な数のノート『アカイさんノート』には、みんなが知っている有名な番組から思い出すのに苦労するような番組まで、メモや写真で事細かに記録してあります。

読めば読むほど、番組の様子やその当時のことが思い起こせる『アカイさんノート』。
さあ、みなさんもアカイさんと一緒に、NHKアーカイブスの奥深~い世界をのぞいてみましょう!

愛犬ブースとともにみなさんからの投稿を待っています。


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