音楽の役割は「商品」からファンとアーティストをつなぐ「ハブ」へと移行した
やや古い話になるが、今年4月、日本を代表する人気ロックバンド「B'z」に関する驚きのニュースが飛び込んできた。4月23日付のオリコンチャートで初登場3位にランクインしたシングル曲「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」が、なんと一日で693枚しか売れなかったのだ。
かつては上位にランクインすれば数十万枚の売り上げが当たり前だったオリコンチャートで、3位という高順位にもかかわらずである。もちろんこれはオリコン史上ワースト記録を大幅に更新した。
CD売り上げの黄金時代と称されるのは1990年~2000年前半までの期間である。特に1998年には売り上げ5,879億円と過去最高を記録し、CD市場はまさに「わが世の春」を謳歌していた。しかし1999年のi-mode、2001年のiTunes / iPodの登場によって、大量の楽曲をデジタル音楽プレーヤーに入れて持ち歩く生活が当たり前になった。
「楽曲はCDからエンコードするものではなく、ダウンロードするもの」という認識が加わったのがこの時代だ。そして動画投稿サイトが普及した2000年代後半には、iTunesを利用せずとも、YouTubeでPV付きの楽曲が聴ける時代となった。若者が音楽を聴くためにわざわざ高いお金を払ってCDを買う時代は終わりを迎えたのだ。
このようにCDの売り上げが減少した最大の原因はインターネットにあるが、インターネットがもたらしたデジタル情報革命の本質は、音楽も含めた情報に対して存在した「時間と空間と所属の壁」を破壊したことにある。つまり「いつでも・どこでも・誰でも」情報が手に入るようになったということだ。
- PR