Updated: Tokyo  2012/10/09 12:24  |  New York  2012/10/08 23:24  |  London  2012/10/09 04:24
 

中国が過去最大の円短期債買い越し、尖閣緊迫化の8月に

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  10月9日(ブルームバーグ):財務省が9日発表した8月の国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本の短期債を過去最大となる8590億円買い越した。中長期債や株式も含めた対日証券投資全体も6995億円と過去2番目の買い越し。8月は沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐって日中関係の悪化が進んだが、世界最大の外貨準備を抱える中国が円資産の保有を増やす流れは続いた。

中国の買い越しはこれまで、短期債・中長期債とも2010年5月が最大だった。人民元相場の上昇を抑える為替介入などで積み上がった外貨準備高について、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は昨年4月、運用・投資の分散を改善すべきだと提言。中国の米国債保有額は世界最大だが、過去最高を記録した昨年7月からは足元で13%近く少ない。共産党の機関紙、人民日報や人民銀幹部らはドルから他通貨への分散投資を進めるべきだと度々、主張している。

日本銀行の統計によると、中国の対日債券投資残高は10年末に英国や米国を抜き、海外勢で最大となった。昨年は71.2%増えて17兆9538億円。加えて、投資急増に伴う日本国内での懸念台頭を避けるため、中国が国際的な金融取引の中心地である英国経由でも対日投資を進めているとの見方が市場では根強い。英国の対日証券投資は昨年、過去最高の68兆3828億円となった。

日中は27兆円規模に達した貿易面に加え、金融の分野でも結び付きを強めてきた。野田佳彦首相は昨年12月、北京で温家宝首相と会談。外貨準備を活用した中国国債への投資や、ドルを介しての取引が一般的な日中通貨の直接交換拡大などで一致した。今年2月には安住淳財務相(当時)が訪中し、王岐山副首相と会談。欧州債務危機対応での共同歩調でも合意した。

日本政府は3月、外貨準備を活用した中国国債の購入について、中国政府から650億人民元の認可を取得。安住財務相は、購入枠は「適切な規模」で「少額の運用から開始する」と説明した。日中と韓国は今月3日、相互の国債への投資促進で合意した。

野田内閣は先月11日、日本が実効支配している尖閣諸島の国有化を閣議決定した。国有化に向けた動きは今春から表面化しており、8月には香港や国内の活動家が尖閣諸島の魚釣島に上陸。中国の数都市では反日デモや暴動が発生し、27日には丹羽宇一郎駐中国大使(当時)を乗せた公用車が北京市内の路上で走行妨害を受け、日本国旗を奪われる事件が発生した。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;シンガポール Masaki Kondo mkondo3@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net

更新日時: 2012/10/09 11:46 JST

 
 
 
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