2012年ノーベル生理学医学賞! テーマは「リプログラミング」!

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みなさんこんばんは。科学コミュニケーターの鈴木啓子です。
ビックリニュースが日本中を駆け抜けて、正直私は驚きを隠し切れていません。
それは私と同じように受賞予想ブログを書いた西原もでした。

私が予想したのは「レプチン」でした。レプチンは、肥満学という新しい分野を開いた、生物学の発展とともに研究が進んできたホルモン。伝統芸ともいうべきこの研究が、ノーベル賞を受賞するんじゃないかなあと考えていましたとさ。

でも!今回は!テーマはリプログラミング」!!!
なんと、な、な、なんと!京都大学の山中伸弥先生と、ケンブリッジ大学のジョン・ガードン先生でした!
早!なに、なに!?もうちょっとあとだと思ってましたけど!?

ちなみに日本人で前回生理学・医学賞を受賞したのは利根川進先生(理化学研究所)でした。利根川先生は1987年に、免疫グロブリンの特異な遺伝子構造を解明した功績により受賞されました。

ここから25年!ようやく再び日本人から生理学・医学賞を受賞しました!

さて速報にも書きました通り、山中先生といえばiPS細胞ですね

 

30秒でわかるiPS細胞!
皆さんの体は細胞で構成されています。細胞は受精卵の時は、何にでもなれる性質を持っています。でも成長するにつれ細胞は、皮膚の細胞になったり心臓の細胞になったり神経の細胞になったりして、そして何にでもなれる状態には戻りません(これを分化といいます)。
「iPS細胞は元には戻れない(はずだった)分化した細胞に4つの遺伝子(今は3種類でも、アミノ酸でも大丈夫です)を導入して、何にでもなれる細胞を作り出すことができたことがすごい!」のです。

 

iPS細胞小ネタ
1.iPS細胞(induced pluripotent stem)は頭文字を普通にとると「IPS」ですよね。どうして「iPS」なのでしょうか?言葉の由来はなんと、「iPod」! これは、インパクトをもたせることで名前の普及をはかったそうです(山中先生が記者会見で話されていました)。

2.上に書きましたが、4つの遺伝子がiPS細胞の作成には必要です。この4つは、大学院生たちが24個の候補遺伝子の中から片っ端から探して、見つけました。本当に必要な遺伝子の数がいくつなのかもわからない状態から探すのですから、地味ながらも大変な作業でした(通常、院生にはもっと短期間でわりと確実に成果の出る研究テーマを与えるモノですが……)。

3.2008年4月に東京で開催されたiPS細胞をめぐるシンポジウムで、山中先生は同時受賞者のジョン・ガードン先生をはじめとするクローン動物の研究成果に強い影響をうけたと言っていました(ガードン先生もこのシンポジウムの登壇者でした)。

 

同時受賞者のジョン・ガードン先生について!

Gurdon Instituteより
じゃあジョン・ガードン先生(ケンブリッジ大学)は一体何をした人なのでしょうか?
一言でいうと、ガードン先生は「クローン動物研究の先駆者」です。クローン羊ドリーの生みの親であるウィルムット博士も、ガードン博士の研究成果があったからこそ、クローン動物の研究に挑戦したといいます。

 

ガードン先生の研究はクローンカエル!
ガードン先生は1962年に世界ではじめて、クローン動物を作り出しました。29歳の時です(私と同い年!) 利用した動物はカエル。
① カエルの未受精卵の核を紫外線で破壊し、②分化した細胞であるオタマジャクシの腸の細胞の核を取り出し、③カエルの卵(①の卵)に入れ、④孵化させ、カエルにまで成長させることができました。

残念ながら今のところ成体のカエルの細胞から、同じ手法で成体のカエルまで成長させることはできていません。

 

クローンカエル、注目すべき点はこちら!
19世紀の頃は、細胞が成長し分化する=遺伝子がなくなることだと考えられていました。つまり一度皮膚の細胞になっちゃえば、皮膚以外の細胞になる遺伝子情報はすべてなくなってしまうという、という風に考えられていました(ドイツの遺伝学者ワイスマンがこのように書いています)。
その後、この説に疑問を抱く人も出てきたのですが、それを実験できれいに証明したのが、ガードン先生だったのです!

 

さてさて、今年の生理学・医学賞はまさかの嬉しすぎる日本へのプレゼントでしたね!
明日はノーベル物理学賞ですね。こちらも日本人が受賞なるか…?
ブログ「未来館のひと」に明日もご注目ください!

 

※ガードン先生の研究内容に関して、一部、誤りがあったので、24時すぎに修正しております。大変失礼いたしました。(管理人)

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