iPS細胞シンポジウムに行ってきたよ

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

  • 2012年06月18日

未来館で行われる幹細胞学会の公開シンポジウムに、
クローン羊ドリーの生みの親であるウィルマット先生と、
iPS細胞の生みの親である山中先生が登場するということで、
それに行ってきました。


  • 見せてもらおうか!未来館のSCの実力とやらを!ごっこ

シンポジウムは16時からで、未来館に着いたのが15時。
せっかくだから客としてお忍びで潜入し、
SCさん(科学コミュニケーター、展示フロアにいる職員みたいなひと)に
いろいろいじわるな質問をしてみて
「見せてもらおうか!未来館のSCの実力とやらを!」ごっこを
してみることにしました。


展示フロアに入って5秒後。

「あ〜しましょさんじゃないですか!」

……昨日イベントの打ち合わせしたSCさんに即バレして終了しましたorz
このあとすれ違うSCさん全員が気づき、計5人にバレました。


ちょっと打ち合わせの続きの話をしてたら高校生が質問をしてきて、
それがなかなか奥が深く、
結局それにずっとつきっきりになっていたという、
普段のボランティアと何も変わらない時間をすごしました。
あれ?僕は客なんですけど。


で、シンポジウムへ。
後ろのほうにちょこんと座ってたら知り合いのボランティアに見つかり
「サイエンスライターさんは前のほうに、さあさあ!」と案内された席は
メディア席のすぐ後ろ。

IMG_0528

後日シンポジウムの中継がそのままYouTubeに載ると思うけど、
たぶん開始前にカメラを横切っていると思います笑
 

  • ドリーは職人技の結晶

ここからが本題。
まずはクローン羊ドリーの生みの親、ウィルマット先生から。
業績とかはどうせWikipedia見れば書いてあるだろうから、
ここではそこに載ってなさそうなことを紹介。


ドリー誕生はかなりアナログ的で地味です。
受精卵から核を取り除いて、別の細胞から核を注射。
これはかなりのスキルや集中力が必要。
もはや職人技レベル。
200個注射してうまく分裂が進むのは半分以下。

次にその受精卵をメスの羊の子宮に入れる。
これがまたちょっとした外科医レベルのスキルが必要。
ほんとに人間の手術台みたいなところに羊を寝かせて、
緑の手術服を着た人たちがやってたとか。

さらに体内で子どもがちゃんと育っているか、
母体は大丈夫なのかを日々確認。
これもまた産婦人科レベルのスキルが必要。
エコーをあててる様子も紹介してました。


こういった職人が何人も集まり、
200個の注射からやっと1匹生まれました。


  • 職人を必要としないiPS細胞

そのドリーの存在を知って刺激を受けたのが山中先生。
もっと簡単にクローンみたいなものが作れないか、という発想でした。


今では学生実験レベルでiPS細胞が作れるとのこと。
操作をしてから2日に1回培養液を交換すれば、
2週間でiPS細胞の小さな集まりができて、
1ヶ月すると肉眼で見えるくらいの大きさになるんだとか。


世間一般には、
再生医療に使えるように自分のiPS細胞を用意しておく
iPSバンクというイメージがあるけど、
それじゃ管理費とか場所が膨大になって、
1人当たり数百万円かかるとか((((;゚Д゚)))))))

じゃあどうするかっていうと、
今の臓器移植みたいに完全に遺伝子が一致しなくても、
免疫に関わる部分だけを一致させるようにすると、
1人のiPS細胞からいろんな人に移植できるようになるとのこと。
理論上は70人の免疫タイプの異なるiPS細胞があれば
日本人の80%はカバーできるらしい。ほうほう。


  • 2人はどんな未来を目指しているのか

ウィルマット先生は、
クローン技術は治療薬の開発に活かしたいとのこと。
たとえば遺伝子組み換えでヒト用の抗体を作れる細胞(核)を作り、
クローン化してミルクから抗体を簡単に取り出すことができれば、
その薬はかなり安価で提供できるようになると考えているようです。

また山中先生も、
iPS細胞を使った再生医療や、病気のメカニズム解明、創薬に
活用することを想定しています。


こういう生命の根幹に関わる研究に対して、
生命倫理やクローン人間、人体改造といった問題はつきものです。
実際シンポジウムの後半はSFやマンガで描かれることが
可能かどうかの議論でした。
(そのへんの進行がちょっと予定調和すぎた気もするけどごにょごにょ)
 

しかしそれに対するお2人の考えは共通していました。

「寿命や能力を限界以上に伸ばすのではなく、
 本来の寿命まで生きられない、
 本来の能力が失われた生命を助けたい」


神の領域を侵犯するつもりは毛頭なく、
ただ単純に人々を病気から救いたい、
平等な生活を送ってもらいたいというだけ、
というのがわかりました。
これだけでも今回拝聴できた意味はあったと感じました。


IMG_0529

このシンポジウムはジオコスモスの下で行われました。
最後にウィルマット先生が「目標は高く持つことが大切」
山中先生が「視野を世界に向ける、そして世界から日本を見ることが大切」
と、ジオコスモスの下で言っていたことが印象に残りました。


……ちなみに帰り道でもなぜかSCさんに発見され、
今回の感想やクレーム(せっかくUstreamやTwitterと連携してるんだからそこに出ている意見や質問をもっと拾ってもいいんじゃね的なこと)を伝えておきました。
NEWS WEB24的なことやりたいよね、とかとか。

この記事にコメントする

名前
メール
URL
  • 情報を記憶:
  • 評価:

ページトップに戻る▲


ぶろぐのこと
はなす

メッセージなどある方はこちらからどーぞ。

名前
本文
さがす
  • ライブドアブログ