京大・山中教授、ペース守り完走果たす 京都マラソン
京都マラソンに応援大使として出場した京大iPS(人工多能性幹)細胞研究所長の山中伸弥教授は、4時間3分19秒で目標の完走を果たした。しっかりとした足取りでゴールし、「生涯最高記録。しんどかったけど楽しく走れた」と充実の笑顔を浮かべた。
約20年ぶりのマラソンだった昨年10月の大阪に続く挑戦。やや緊張した面持ちでスタートし、中盤まで慎重にマイペースをキープ。30キロを過ぎたころ「3月11日に走れることに感謝したい。だから、余裕を持ってゴールしたくない」との思いが強まり、残り10キロは全力で駆け抜けた。
2月中旬、インターネット上でマラソン完走を公約にし、研究基金への寄付を呼びかけた。レース前に約900万円が集まり、激励メッセージも次々届いた。左膝のけがなどであまり練習できず、完走への不安は大きかったが「たくさんの支えに後押しされた」と感謝する。レース中も沿道や参加者から常に声を掛けられた。「走るより研究を頑張って、と言われた時はぐさっときた」と冗談も交えて振り返る。
25年前につくった「4時間20分前後」の自己記録を大きく更新した。当時は前半に飛ばしすぎ、歩いてゴールすることが多かったと言う。「ペース配分の大切さをあらためて実感した。研究も完成までに10年、20年とかかる。だんだんと加速し、最後は全力疾走できるよう努力を続けたい」。その引き締まった表情は、市民ランナーではなく、世界のトップを走る研究者の顔だった。
【 2012年03月12日 09時38分 】
ソーシャルブックマークへ投稿: | Tweet | (ソーシャルブックマークとは) |