【column】コピーライターの基本
「ほかの商品に差し替えても通用するコピーは書くな」
毎回最終ページでは、僕が書く技術を学んだり、身につける過程で気づいたこと、教えられたことを【column】として書いていきます。文体も、本文の内容とは変えましょう。
僕は大学を出てから、コピーライターとして広告業界で15年ぐらい仕事をしてきました。コピーライターの卵として仕事を始め、最初に教えられたのが、これです。
「ほかの商品に差し替えても通用するコピーは書くな」
広告コピーを書くときに、商品名や社名を取り替えても同じ内容で問題なく読めてしまうなら、それは広告ではない、というわけです。例えば、
「毎日が充実する仕事です」
「あなたにぴったりの仕事です」
僕は最初、求人広告を書いていたので、こういうタイプのコピーをたくさん見たわけですが、先輩からこういうコピーはダメ、と教えられました。社名や仕事を取り替えても、言えてしまうからです。逆に、
「雨の日にも、最寄り駅から濡れずに出勤できる」
「毎日新しいことが起こる仕事」
というのは、よいコピーです。どちらも、それに該当する仕事はほかにないか、ごく限定されるからです。メッセージとは、そのとき、その場面で固有のもので、一回性なのです。
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渡辺 パコ(わたなべ・ぱこ)
(株)水族館文庫代表取締役、経営コンサルタント。