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相馬の移転希望 市街地近くに集中 沿岸敬遠、需給にずれ
 | 説明会で相馬市の話を聞く住民=4日、市総合福祉センターはまなす館 |
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福島県相馬市の防災集団移転促進事業で、被災者の移転希望先の地区に偏りが出ている。市街地に比較的近い地区に人気が集中する一方、東日本大震災の津波被害を受けた沿岸部は敬遠され、市の整備計画とのずれが生じた。市は計画を見直したが、需給ギャップは埋まりそうにない。
主な移転先の整備計画の戸数と応募件数(9月13日現在)は表の通り。刈敷田、細田、明神前地区は市街地に比較的近く、宅地、一戸建て災害公営住宅とも応募件数が計画戸数を上回っている。逆に荒田、鷲山地区は沿岸部にあり、供給過多になっている。 宅地と災害公営住宅の比較では、自己資金で買って家を建てる宅地より、賃借する公営住宅の方が経済的だとして応募が多い。 市は計画を見直し、宅地は人気のある刈敷田地区を増やし、応募の少ない荒田、鷲山地区を減らした。全体的にも宅地枠を縮小し、災害公営住宅を拡大している。 市は4日に始めた住民説明会で見直し案を示した。見直し後も宅地の競争率が2倍を超す刈敷田地区などは抽選の可能性が大きく、説明会でも不安の声が漏れた。 刈敷田地区を望む男性(68)は「家族7人で移る。若い世代が津波の怖さから海の近くを嫌っている。抽選に外れ、沿岸部に移れと言われても困る」と悩む。 市建設部は「被災者を対象に昨年12月に行った意向調査では沿岸部の需要が多かったが、応募は予想外に少なかった。応募の多い地区の区画を大幅に広げることは難しく、見直しの中で対応していきたい」と話す。 応募状況を公表し、今月末まで変更申請を受け付けて需給ギャップを緩和したい考えだ。
2012年10月09日火曜日
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