'12/10/8
反日が中国事業に影響じわり
中国での反日感情の高まりが、中国地方の企業の事業に影響し始めた。新規取引のキャンセルや受注減に加え、将来の投資を控える動きもある。中国の景気減速も長期化し、建設機械や自動車の販売も鈍っている。
大連市の子会社の工場で牛丼のたれやドレッシングなど50種類の製品を生産する三島食品(広島市中区)は、9月から予定していた現地のパン製造会社との新規取引が、反日感情の高まりを受けてキャンセルになった。
北京、上海市では取引先の日系飲食チェーン店で営業の自粛が相次ぎ、受注が減少。子会社の9月の中国向けの売り上げは例年より2割減った。野口英善取締役管理本部長は「影響はしばらく続くと思うが、早く収まってほしい」と願う。
「今後の投資は別の国で検討せざるを得ない」とするのは、中国国内に製造拠点3カ所を持つ電子部品製造のオーティス(真庭市)だ。9月15日に青島市の合弁工場が襲撃された。現地従業員の協力で4日後には再稼働し「業績への影響はほとんどない」とみる。すでに中国4カ所目の工場では稼働に向けた準備が進んでいるが、「危機管理や人件費の高騰を踏まえると、新たな工場建設は中国では難しい」という。
経済減速の影響も長引いている。ショベルカー製造のコベルコ建機(広島市佐伯区)は、現地の工事量の減少が響く。親会社の神戸製鋼所(神戸市)によると、中国での油圧ショベルの販売は、1万台強の本年度見込みに比べ15%程度下回ると予想する。マツダの中国での上半期(4〜9月)の販売台数も、前年同期より15・4%落ち込んだ。
中国国内に工場を持つ他の企業でも、通関検査の強化などで製品輸出の遅れが出ており、「どこまで影響が広がるのか分からない」との懸念が強まっている。
【写真説明】反日デモなどの影響で受注が減っている三島食品の現地子会社の工場(大連市)