【コラム】中国の反日デモに思う…韓中関係は大丈夫か

 日本政府による尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化措置を受け、中国で反日デモが広がった際、外国人が多く住む上海市の古北地区の雰囲気は騒然としていた。日本人、日本料理店、日本関係の商店が多い地域だからだ。ある日本料理店はドアに中国国旗とともに「台湾資本の飲食店です」と書かれており、通行人が苦笑を浮かべていた。

 一部の人は今回のデモが官製デモだと行って無視した。デモ隊は動員された人たちで、一般市民は関心がないということだった。経済学科に通う大学生(22)に「デモに参加するか」と聞くと、「参加するつもりは全くない」という答えが返ってきた。秩序があり、礼儀正しい日本人が個人的に好きである上、参加したからといって、自分に徳があることにはならないという理由だった。「南京大虐殺」を考えれば、日本を好きにはなれないのではないかと聞くと、彼は「それは前の世代の話で、我々の世代とは関係ない」と言い切った。上海・黄浦江沿いの外灘(ワイタン)に西洋列強による侵略の痕跡として残る石造りの建物を眺めながら、中国の若者が「外国人観光客が訪れる美しい場所だ」だと感動する姿と何ら変わりなかった。

 大手のコンピューターゲーム会社で働く青年(29)も「反日デモ隊は共産主義青年団(共青団)などの組織を通じ動員された人たちだ」と話した。自身も過去に共青団の団員だったという彼は「チャンスがあれば、規制が多い中国社会を離れ、シンガポールや韓国、カナダに移民したい」と続けた。通信設備大手のアルカテル・ルーセントに勤める男性(38)は「デモ隊の一部はデモの機会を利用し、中国政府に対する不満を表明している」と指摘した。官営メディアは反日スローガンばかりを報じるが、広東省では反政府のスローガンも多く出現したという。

 中国の公務員数人と食事する機会があったので、反日デモの自発性について質問してみた。彼らは中国の体制の特殊性からデモ隊が「組織された」ことは認めながらも、一般国民の反日感情は決して無視できないと語った。そして、今回の日本製品不買運動は2005年の日本の歴史教科書問題による不買運動よりも影響力がはるかに大きいと予測した。例えば、自動車の場合、05年には反日感情が今回ほど表出せず、自動車の選択の幅も相対的に少なかったが、現在は環境が変わったため、不買運動が威力を発揮するとの分析だった。実際に9月には中国で日本ブランドの乗用車販売台数が前月比約30%減少したと推定されている。公務員はまた、「中国人は韓国に対する好感が非常に強いため、韓中間の対立が日中間の対立のように爆発的には広がらないだろう」と話していた。

 しかし、歴史をさかのぼれば、韓中間の対立は日中間の対立よりも根深く、現在も対立要因がずっと多い。地理的に韓国は日本より中国に近く、北朝鮮問題も抱えているからだ。韓国の中国に対する経済的、外交的な依存度は日本の比にならず、中国と摩擦が生じた場合、韓国はさらに大きな影響を受けかねない。中国の反日デモを見て、緊張せざるを得ないのはそのためだ。

上海=呂始東(ヨ・シドン)特派員
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