【コラム】サムスンが略奪され、現代車が燃やされる日

 今は中国が険しい表情を浮かべるだけだが、いつ容赦ないナショナリズムが暴力となって降り掛かってくるか分からない。韓中間には大きな懸案が幾つもある。離於島(中国名・蘇岩礁)をめぐる領有権紛争、排他的経済水域(EEZ)の画定問題も懸案として残されたままだ。脱北者問題をめぐる対立も時限爆弾だ。国益をめぐる対立が表面化したとき、中国は韓国に容赦なく報復を加えてくるのは間違いない。

 中国の覇権主義は常態化した問題と見るほかない。中国が大きくなればなるほど、力で押し切ろうとする動きが露骨になるのは明らかだ。問題は韓国側の姿勢だ。韓国には純真にも中国の善意を信じる観念的な親中勢力が存在する。彼らは中国を刺激すべきではないとの理由で海軍基地の建設に反対し、国防力増強の動きにも異を唱える。中国にやられた日本が切った取っておきのカードは日米安保条約だったが、韓国の親中勢力は中国が最も恐れる韓米同盟を弱めるべきだと主張する。

 中国が韓国だけを大目に見るというのは都合の良い錯覚にすぎない。韓国は経済的にも北朝鮮問題などの面でも、日本よりはるかに中国への依存度が高く、中国の脅しに弱い。このままでは、近い将来に暴走する中国のナショナリズムの前に屈服を強要される状況に追い込まれかねない。

 中国に対する経済的、外交的カードを持ち、海軍力を高め、対応能力を強化することは、韓国の国家のプライドと直結する国家存亡の問題だ。しかし、今後5年間の政権を争う与野党の大統領候補者は、誰もその問題に触れようとしない。どうすれば中国の前に奴隷のように服従せず、国家的なプライドを守れるか答えを示すべき候補者たちは、見て見ぬふりで沈黙を続けている。

朴正薫(パク・チョンフン)編集局副局長兼社会部長
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