【コラム】サムスンが略奪され、現代車が燃やされる日

 トヨタ車が燃やされ、パナソニックの売り場が略奪に遭った中国の反日デモは、正常な国家間関係ではあり得ない野蛮な状況にまで達した。被害者は日本だったが、韓国社会では中国を支持する反応が少なくなかった。先週のデモを報じた朝鮮日報のウェブサイト「チョソン・ドット・コム」の記事には「日本の自業自得」「デモが収まらないことを望む」といった読者の書き込みが相次いだ。過去を否定し、他人の土地を狙う日本がひどくやられた、というのが韓国人の正直な心情だった。

 しかし、対岸の火事で済ませてよいのか。中国の群衆が日系のスーパーマーケットに乱入し、略奪に及ぶ場面を見て、いつかはわれわれも同じ目に遭うのではないかと感じた。今はトヨタとパナソニックだが、そのターゲットが現代自動車とサムスン電子に変わらないとは言い切れない。中国の反日デモ隊は「愛国無罪」というプラカードを掲げる。暴力的ナショナリズムに達した中国式の愛国は相手を選ばず、韓国だからといって容赦しないはずだ。

 韓国は既に巨大中国の容赦ない愛国主義で苦々しい経験をしてきた。韓国のプライドに深いトラウマを残した12年前のニンニク騒動が代表的だ。当時、韓国政府が中国産ニンニクの関税を引き上げたところ、中国は韓国製携帯電話端末の輸入中止で報復した。輸入農産物に対する緊急輸入制限(セーフガード)による関税引き上げは、世界貿易機関(WTO)のルールに従った正当な措置だったが、中国は強引な手段で報復に出た。結局韓国政府は白旗を揚げて降参し、ニンニクの関税を元に戻す羽目になった。

 韓国は2008年の北京五輪で中国の群衆が韓国選手団にやじを飛ばしたのを覚えている。その直前の聖火リレーでは、ソウル都心に数千人の中国人が集まり騒ぎを起こした。中国軍の総参謀長が韓国の国防部長官を前に演説したかと思えば、中国外務省の報道官は違法操業の中国漁船に「文明的な対応」を求めるという開き直った態度まで取った。

朴正薫(パク・チョンフン)編集局副局長兼社会部長
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