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ノーベル賞 山中さん“感謝のひと言”
10月8日 21時35分

ノーベル賞 山中さん“感謝のひと言”
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京都大学で午後8時から行われた記者会見で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中教授は、まず「受賞の感想をひと言で言うと『感謝』ということしかない。日本の皆さん、研究の支援をしている大学、多くの同僚、いつも私を励ましてくれた友人、そして家族に心から感謝の意を表したい」と述べました。

また、山中教授は「ジョン・ガードン先生が、細胞の初期化という研究を切り開いた。彼の仕事がなければ、われわれの仕事はなかった。彼だけでなく、いくつかのキーとなる研究があったので、先人の研究者のおかげの受賞である」と述べたうえで、一緒に研究を続けてきた研究者に対して、「彼らは『腹心』と呼ばれる、自分の研究室にとって欠かせないメンバーだ。200名余りのみんなの頑張りに頭が下がる」と述べて、感謝の思いを伝えました。
さらに、山中教授は「喜びも大きいが、大きな責任感も感じている。iPS細胞技術は非常に大きな可能性はあるが、本当の意味で役立ったと言えるところまで来ていない」と述べたうえで、患者に対して「iPSの技術を使うと、きょうあすにも病気が治るという誤解を与えているかもしれない。まだまだ研究が必要なのが事実。苦労していると思うが、希望を捨てずにいてほしい」と語りかけました。
このほか山中教授は、倫理的な問題について触れ、「社会全体で倫理的な議論を少しでも早く準備しておかないと、科学技術のほうが思ったより早く進んでしまう。倫理面の問題を同時に進めていかないと、本当の意味での実用化にはつながらない」と訴えました。
一方で、山中教授は、受賞の連絡を発表の前に自宅で受けたことについて、「正直、受賞することは全く思っていなかった。自宅にいて洗濯機がガタガタ音がするので、それを直そうと思って作業していたところ携帯電話がなった」と述べたうえで、「私もそうだったが、家族もぼう然としていた。80を超えた母に報告できたことがよかった」と語りました。
記者会見が始まる直前には、野田総理大臣からの電話が会見場に座っていた山中教授の携帯電話にかかるハプニングもあり、山中教授は「本当にありがとうございます。国を挙げて支援いただいたおかげで、これからも頑張るのでよろしくお願いします」と述べていました。
山中教授は、午後8時から1時間ほどの記者会見を終え、席を立つ際に会場から拍手が起こると、ほっとした表情で笑顔で応えながら退室しました。

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