2012年10月4日(木)

一挙公開!超節約術の驚愕テクニック 
-「年収300万父さん」は、なぜ豊かなのか【2】

一生心配ない「貯蓄体質」のつくり方とは

PRESIDENT 2010年7月5日号

家計の見直し相談センター 藤川 太 構成=伊藤博之 撮影=平地 勲、南雲一男
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一見、華やかそうなアッパー・ミドルの生活であるが、内情は火の車というのが実態だ。実はいま私たちが真に学ぶべき生活設計の知恵は、ロウアー・ミドルの生活のなかにある。

注目したいのが、手取り年収300万~500万円前後のロウアー・ミドル(中位低所得者層)の“スーパー節約術”である。手取り年収がわずか400万円なのにもかかわらず、毎年着実に200万円も貯蓄している夫婦が何組もいたりする。

たとえば30代で子供が1人というケースでは、月の生活費が約13万円に住宅ローンの返済が約4万円。確かに200万円近く貯蓄に回せる計算である。ちなみに食費は2万~3万円程度。3000万円の物件の購入で組んだ住宅ローンも、貯蓄から1500万円ほど頭金に回しているので、余裕を持って返済できる金額に収まっている。

毎月40万円も生活費にあてているプチ高所得者とはまさに大違い。「これだけの支出でよく生活していけますね。どう節約の技術の限界にチャレンジしているのですか」と称賛の意味を込めて尋ねた。すると「これで支出が少ないって一体どういうことでしょう。もっと切り詰められないかと思って相談にきたのに……」と切り返され、たじろいでしまったことがある。

そんな彼らの食費の面での節約術から見ていくと、レシピの工夫や改善がすごい。たとえばロールキャベツの具材ですぐ思い浮かぶのは牛肉や豚肉。しかし、彼らは肉の代わりにもやしを使う。もやしの値段は100グラム当たり16円程度で、肉と比べたら10分の1以下。それにもやしには、たんぱく質、カロチン、ビタミンCなどの栄養素がバランスよく含まれているうえに、カロリーが低い。だから家計にも健康にも優しい。

実は面白いことに、このもやしの1世帯当たりの購入量が増えているのだ。図4に見るように09年は05年と比べて22.3%増の6.74キログラム。確かに価格が安値で安定していることも手に取りやすくさせているのだろう。さらに栄養豊富で安価な果物の代表がバナナであるが、やはりこちらも同22.9%増の23.0キログラムへ急増している。「もやし消費」「バナナ消費」を志向する賢い節約家族が増えていることを示すデータと捉えられそうだ。

また、大根を買うときは葉っぱを切り落とさずに、まるごと1本買ってくる。葉っぱはお浸しにして、硬い青首のところは大根おろしにする。また、残りは皮を剥いておでんなどの煮込みの具として使う。ここまではどの家庭でも行っている。ところが彼らは、剥いて残っていた皮をニンジンなどと炒めてキンピラ風にしたりして食べ切ってしまう。「皮には実の部分よりもビタミンCが多く含まれています。捨てたらもったいないでしょう」と当たり前のように話す。

次は食材の買い出しであるが、あらかじめ買い物リストを作っておくのは常識。しかし、ある節約長者の主婦はリストを紙に書き出さない。余白があれば、つい余計なものまでリストアップしてしまう恐れがあるからだ。ではどうするかというと、手の甲、それも親指と人差し指の間のわずかなスペースに書いていく。他人に気づかれて恥ずかしい思いをしたくないという気持ちも働いて「3、4品、書くのがやっと」であるそうだ。

そうしたストイックな姿勢は買い物の現場にも顕著に表れる。子供はなるべく一緒に連れていかない。「このお菓子がほしい」となるのが目に見えているからである。また、スーパーにあるカートは利用しない。手にカゴを持って買い物をしていると次第に重くなり、「決めたものだけ買って、早くレジを済まそう」と自制心が働くようになるのだ、というから頭が下がる。

もし、あなたが「牛乳はスーパーの安売りで買うのが1番お得」と信じていたら、それはもはや時代遅れの節約術だ。いまや意外なところで意外なものが安売りされている時代。その最たる例がドラッグストアでの牛乳の安売りである。ドラッグストアからすれば、大幅赤字を覚悟でスーパーより安い値段で牛乳を売っても、主力商品である化粧品や薬をついで買いしてくれれば、十分に元が取れる。もちろん賢い主婦は牛乳の“1点買い”で店を後にする。

そうした超安売り商品の情報に敏感になるために「底値帳」なるデータ集を手作りしている節約長者もいる。「何月何日の何時に、どのお店で、どの商品がいくらで売っていたか」を一覧表にしていく。そうしていると次第に「どの店で、いつ底値で売り出すか予想できるようになる」という。投資家が為替や株価のチャートを自分でつけて相場観を養うのと同じように、買い物の“底値感”を体に覚えこませるトレーニングにつながっているのかもしれない。

一方、衣料品の購入はどうかというと、「いまやユニクロは贅沢。しまむらで買え」というのが節約上手のロウアー・ミドルの合言葉。さすがに体面を考えて主人の普段着はユニクロにすることもあるが、妻や子供の分はしまむらで済ませる。何せ婦人ワンピースが1470円、シャツやスカートなど子供用の服の8点セットが2000円という破格の値段で売られているのだから。なお、主人のスーツは5000円で買える西友のセットアップスーツなどが常識化しつつある。(※雑誌掲載当時)

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