わずか2年…老親の預貯金2000万円はなぜ底をついたのか (5/8ページ)

2012.8.26 13:30

証拠調査士平塚俊樹メーカーのクレーム処理担当等を経て2004年より企業・弁護士等を対象に危機管理コンサルティング。著書に『Lawより証拠』ほか。

証拠調査士平塚俊樹メーカーのクレーム処理担当等を経て2004年より企業・弁護士等を対象に危機管理コンサルティング。著書に『Lawより証拠』ほか。【拡大】

 約2年間の回り道。その間に、両親の預貯金2000万円を使い果たした。

 「一番のポイントは、特養への申し込みの早さ。あるデイケアに、『こういうのは進行が速いから』と言われました。最初から特養に入れる準備をしないと、僕のような目にあいます。それでも、僕の場合は知己の医者がいろいろやってくれたから何とか破産せずにすんだ。それができない人は、自宅に両親を閉じ込めて、彼らの年金で食っていますよ」

 では、“そのとき”に備えて、今のうちに何をやっておくべきだろうか。

 「まず、両親が元気なうちに、公証役場で任意後見契約を結んでおくんです」

 任意後見制度は、判断能力の不十分な人に代わって財産などを動かせる成年後見制度の一つである。

 「後見人の権利を行使すると、弁護士費用などが月3万円以上かかるが、行使せずとも、判断能力がある時期に子供に財産管理を委託したという強力な証拠になります。この契約書を見せるだけで、様々なことができる。成年後見制度には、ほかに法定後見制度がありますが、裁判所はカタコトでも喋れれば『判断能力アリ』にするし、もし通っても弁護士や司法書士に月3万円程度の報酬が発生する。そんな支払いは無理でしょう」

自分たちで銀行口座を管理できるようにしておく