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受賞理由の「初期化」とは?
10月8日 18時59分

山中さんのノーベル医学・生理学賞の授賞理由として挙げられたのが「細胞の初期化」についての研究成果です。

ヒトや動物の体は、1個の受精卵が分裂を繰り返し、さまざまな役割に変化した細胞で形づくられています。
細胞の核に詰まった遺伝情報がいったん役割を決めると元の細胞に戻ることはないとされてきました。
ところが山中さんは、6年前、マウスの実験で、皮膚の細胞の核に、特定の4つの遺伝子を入れると、受精した直後のように、体のあらゆる組織や臓器に変わる「初期化」が起きることを世界で初めて示し、この細胞を「iPS細胞」と名付けました。
翌年にはさらに、ヒトでも同じ方法でiPS細胞を作り出し、それまでの生命科学の常識を打ち破る発見となりました。
今回、山中さんとともに受賞者に選ばれたイギリスのジョン・ガードンさんも同じ「初期化」をテーマに研究をすすめ大きな成果を上げました。
ガードンさんは、1962年に行った実験で、カエルの卵から核を取り除き、代わりにオタマジャクシの細胞の核を移植しても、卵がそのまま成長することを示しました。
いったん成長した細胞の核でも、卵の中に入れることで、受精卵の細胞核と同じような状態になる、「初期化」が起きるとした最初のケースでした。

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