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駅のホームドア 設置進まず
10月8日 11時16分

駅のホームからの転落事故防止の切り札とされるホームドアについて、国が去年、設置を優先するよう求めた大規模な駅で、新たに設置や計画がされたのは全国で11の駅にとどまっていることが国土交通省のまとめで分かりました。

乗客がホームから転落して電車にはねられたり、ホームで電車に接触する事故は、昨年度は209件起きていて、この5年間でおよそ30%も増えています。
事故は、1日の利用客が10万人以上の大規模な駅で多く起きていて、国土交通省は去年8月、こうした駅では事故防止に有効なホームドアの設置を優先させるという初めての目安を定めました。
1日の利用客が10万人以上の駅は、首都圏を中心に全国に235駅ありますが、目安が定められてから先月末までにホームドアが新たに設置、または計画されたのは11の駅にとどまっています。
また、去年8月以前のものを含めても全国で80の駅にとどまり、対象の30%余りとなっています。
設置が進まない理由としては、多額の費用がかかることや、列車のドアの位置や数が車両の種類によって違うことなどが指摘されています。
国土交通省では、費用の負担について自治体にも協力を求めるとともに、コストが低く抑えられるホームドアの開発を支援し、普及を図っていきたいとしています。
駅のホームから乗客が転落する事故は相次いでいて、ことし3月には埼玉県川越市で、視覚障害者の男性がホームから転落して電車にひかれ死亡する事故が起きています。
また、先月には横浜市中区の駅で女子高校生が誤って線路に転落し、電車が駅に入ってくる直前に会社員と警察官の2人に救助されました。
国土交通省によりますと、ホームから転落して電車にひかれる事故は、ホームでの接触事故も含めて昨年度は209件で、この5年間でおよそ30%増えています。
特に酒に酔った乗客の事故が増えていて、昨年度は事故の60%近くを占めています。
先月29日にも、新宿駅の小田急線のホームで酒に酔った客が線路に転落し、電車のダイヤが乱れたということです。
新宿駅で電車を利用する人の中からは、「混雑して人の列の前を通らなければならないときは危険を感じるのでホームドアがあると安心です」といった声や、「ホームに転落した人がいて電車が遅れることが多いので、すべての駅につけてほしい」などの声が聞かれました。

設置進まない理由は

ホームドアの設置が進まない理由のひとつが多額のコストです。
ホームドアを設置する場合、機械の設置に加え重さに耐えられるようホーム自体を補強する必要もあります。
先月末からホームドアの運用を始めた小田急電鉄の新宿駅では設置におよそ8億円の費用がかかりました。
また、普通列車や特急など電車の種類によってドアの位置や数が違うことも課題です。
設置しても同じホームに複数の種類の電車や他の会社の電車が乗り入れる場合、ホームドアの運用ができないケースもあります。
国ではどの車両にも対応できるホームドアが動くタイプやコストが低く抑えられるバー式やロープ式のホームドアの開発を支援するなどして普及を図っていきたいとしています。
国土交通省鉄道局の北村不二夫技術企画課長は「転落事故防止の有効な手段なのでホームドア設置の促進に変わりない。
設置のための助成をしていきたいし技術開発の支援も進めていきたい」と話しています。

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