αジーニアスβジーニアス
内部構造画像



051122 初稿
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(長いまえがき)
電磁波の害を防ぐ魔法のエネルギー変換コンセント、αジーニアス。ご紹介当初からいただいているメールの代表格が「技術者だったら原理がわからないが効き目があるではなく、せめて中を調べてから紹介すべきである」というものです。単純に中を見せてくださいというメールも舞い込みます。

まあいわれるまでもなく中はみていますし、分解してどの部分が御利益の御本尊であるかも調べてあります。しかし、原理はわかりません。結果私の出した結論が「これは電気的な気功みたいなもんだろう」というのは別の場所にも書きました。しかし、相変わらず本当の原理は私にはわかっていません。

原理がわからないが現象として安定して再現することを記憶し、利用し、設計に役立てるということをできない設計者は、音質というまことに難解な現象を御する仕事だけはできません。若者が新人として入社しても、音質という仕事が科学的でないと否定することしかできず、結局職場を去って行くものも少なくありませんが、そういう方でその後大成した例を私は知りません。

科学者ならともかく、技術者は自分が職人であるということを忘れるべきではありません。現象として安定に起こっていることは頭の中で整理して固定化して利用する。これができないと仕事になりません。もちろんほとんどの場合、なんらかの仮説で自分のアタマを整理しておくことは必要です。それで似たようなセットの設計はほとんど支障なくおこなえます。

しかし、デジタルアンプのように、ある日それまで持っていた仮説やノウハウが全く通用しない物体が自分の前に現れることもあります。私の場合は、2002年に現れてしまいました。

そのとき、とりあえず過去の経験値はとりおき、新たに目の前で起こっている現象を経験値としてどんどん吸収し、蓄え、利用できるものが、この新しい原理で動く商品を仕上げることができるのです。余りの難しさに病気にはなりましたが、とにかく商品は作り上げることができました(TA-DA9000ES)。

翌年の設計で、仮説が正しいと確信する部分。デバイス変われば全く通用しない部分。仮説から真理へと確信がえられる部分など、その経験値は上がって行きます。相変わらず理由のわからないノウハウ的なものもありますが、それらを総動員して全身全霊をかけて作り上げる。それが商品の設計というものなのです。

デジタルアンプはこうしてTA-DA7000ESをへて、今年TA-DA9100ESへと進んできました。今年は評価、試聴をしてくださった評論家の方が、試聴時になにか音質的疑問を提示された場合、ほとんどのことはその場でただちになおすことができました。同じタイプの問題を、この二年でニモデル仕上げる中で、どこかで経験し、解決してきたことが蓄積されてきているからです。

あまりに見事に治るので、評論家先生が「えー、なんで」とおっしゃることもしばしばです。ドライバ一本で10秒でなおしてしまったりするからです。10年以上前まで現役で設計していたアナログアンプ設計の大家が同席していたときなど、余りのことに絶句していたことも多々あります。デジタルアンプの敏感さは、アナログアンプの比ではありませんが、傾向を覚えてしまえば非常に素直に反応してくれるのです。改善度は驚くほど多く正直なもんです。

多くのオーディオメーカーエンジニアはいつかデジタルアンプの調整に直面すると思います。そのとき素直に対象と対峙すること。これがコツです。先人としてアドバイスできるとしたらそれだけです。現象と対策は、使用する動作原理ごとに違うでしょうから。

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さて、前置きがすごく長くなりましたが、私が今までジーニアスの中身の画像を公開しなかったのは、一言でいえば「何もシカケらしいものは見えないない」からです。多くの方は「どんなふうになっているのだろう」とお思いでしょうが、実際なかはごくふつうのコンセントなのです。

したがって、公開しても面白くないと思い、後回しにしてきました。ただリクエストは相変わらずあるので公開します。

ここからなにをつかむか、それはみなさん次第です。



ではαジーニアスからごらんください。



まずおなじみの外観です。スイッチとパイロットランプのついているコンセントアダプター。もともとはまさにパイロットランプ付きコンセントとして作られていた金型を流用して、部品の一部を変更してαジーニアスに変身させたものです。



中身です。AとBは、裏側の並行プラグの刃とつながっている電極です。

まずA電極は負荷側のプラグ部分とジャック側が直結されています。

B電極とC電極は、プラグ側、ジャック側は直接は接続がなくて、スイッチDを経由してつながっています。

またAとCの間にごちゃごちゃした配線がありますが、これは抵抗入りネオン管回路で、オレンジ色のパイロットランプを点灯させるものです。



一応C電極部を起こして画像をとってみました。B電極とC電極に直接の導通がないことがお分かりいただけると思います。

配線はハンダ付けで、若干古い設計の構造ですが、スイッチ付きコンセントとしては、まあごく普通のもので、何ら珍しいものではありません。ようするに外見上せ目立ったシカケはありません。

αジーニアスの御本尊は、このA、B、Cの電極部分の材料そのものにあるようです(全部バラしてどこが効くか試しました)。合金の組成か処理に仕掛けがあるのでしょう。だから外見では全くわからないのです。

なお上記のうち「スイッチ」はパス(直結)してももかまいませんが、「ネオン管」をノイズ源だと嫌って外すことはしない方がいいと思います。外すと効果が落ちるように感ずるからです。

ネオン管はパルス点灯する光源ですが、このパルスノイズが、ジーニアスの効果を励起するのに使われているのかもしれません。


次はβジーニアスです。



中国製のOAタップの金型を使って作られています。今は使われていない電取規則マークがついていますから、やや古いものでしょう(現在は▽〒の電取マークは廃止で、電安法マークが入ります)。

このあとの説明のため、コード側からE〜Hの記号を付与しておきます。



あけてみました。OAタップをあけてみたことがある方はすぐ分かると思いますが、もうほんとうにごく普通のOAタップです。特別変わったことはありません。強いて言うならアース回路に非常に太っとい黄銅板が使われている程度でしょうか。

材質が硬く、アース金具が太いので、オーディオ用としては、この素材を選んだのはなかなかよいチョイスだと思います。



近寄ってみました。白、黒、黄色のリードは電源コードそのものを剥いて延ばしたものです。つまり余分な接点はありません。白いリードがコールド(接地側)、黒がホット(活電側)。黄色いリード(緑のネジ)がアース(グランウド)です。

4極の出口、E〜Hは灰色の金属板と黄色の金属板で一体につながっており、内部を接続するリード線はありません。この構造は、OAタップでは一般的なものです。したがってβジーニアスもまた、この金属合金(又は後処理)で効果を出していると考えられます。

ちなみに各コンセント口の効果ですが、PCディスプレイで確認した感じでは差はよくわかりませんでした。強いて言うならEがよく、F、G、Hの順に悪くなるようでした。

Eはαジーニアスより若干いい感じもしますが、コードが長いせいか、総合的にはαジーニアスといい勝負。4口あるのは貴重かもしれません。



いかがでしたでしょうか。

この画像は購入と同時に撮影していますが、私がなかなか公開しなかったのは、特に面白みがないので後回しにしていただけです。

中を見たかった方はこれで気が済んだでしょうが、結局見ただけではなにもわからないということも同時にお分かりかと思います。



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