韓国人が中国の延辺朝鮮族自治州や韓国人が多いバンコクのゴルフ場でウォンが使えたからといって感激する時代は過ぎた。海外旅行中にウォンで支払いができたことで「祖国の力」を感じ、こぶしを握り締めるのも照れくさい。国際金融市場で存在価値を全く存在できないのがウォンの現実だ。
イラクのサダム・フセインは米国と戦いながら、原油の輸出代金をユーロで受け取るよう命令した。しかし、彼が隠れていた地下壕(ごう)で拘束された際、米ドルで75ドルの現金が見つかった。米国をそれほど憎んでいたフセインも、生死が懸かった窮地で非常資金として使えるのはドルだけだと信じていたのだ。
独島(日本名・竹島)をめぐる紛争の余波が通貨摩擦に拡大した。日本は韓国が通貨スワップを延長するようひざまずかない限り、通貨同盟を維持できないとした。日本はどの急所を突けば、韓国が血の涙を流すかを熟知している。円は世界のどこでもドルやユーロと換えられる通貨だが、ウォン建て債券や韓国の金融商品は、フセインのドル札のような非常用の資金となるどころか、危機の兆しさえ見えれば、まず投げ売りすべき存在であることをよく知っているのだ。
日本は4年前にも韓国が2000億ドルを超える外貨準備を持ちながら、途方にくれているのを横目に見ていた。現在韓国が3200億ドルを超える外貨準備を誇りながら、サブプライム関連の債券がどれだけ含まれているか、緊急時に現金化できる金額はどれほどかについて看破している。
韓国銀行(中央銀行)の金仲秀(キム・ジュンス)総裁は先月、中国に通貨スワップの常設化を提案した。通貨同盟を恒久化しようと頭を下げた格好だ。日本にもプライドを捨てて頭を下げるべきか、問題を次の政権に持ち越すかを決断すべき時を迎えた。
李明博(イ・ミョンバク)大統領が就任した日、ウォン相場は1ドル=949ウォンだったが、今月5日のウォン相場は同1111ウォンで、17%もウォン安に振れた。ウォンがそれだけ価値を失ったことになる。ウォンの通貨としての価値が低下することも知らないまま、自動車、半導体の輸出を最優先してきた結果だ。国の経済がこれだけ大きくなった以上、そろそろウォンを金塊のように堅固な通貨に成長させるという指導者が現れてもよい時期ではなかろうか。