インターネット上の殺人・爆破予告事件で「なりすまし」の遠隔操作の可能性が浮上し、逮捕された大阪と三重の男性が釈放された。誰もが身に覚えのない行為で容疑者にされる恐れがあり、専門家からはサイバー犯罪捜査の難しさを指摘する声の一方、「裏付け捜査が不十分」と批判も出ている。
府警が大阪府吹田市の男性を逮捕した決め手の1つとしたのは、インターネット上の住所にあたる「IPアドレス」。HPの記録から発信元のIPアドレスをたどり、男性が保有する携帯型無線LAN(構内情報通信網)ルーターが書き込みに利用されたことが判明した。
府警は、第三者が機器に接続した可能性もあるとみて約1カ月にわたり任意で捜査。検索ソフトを使って男性のパソコンを調べたが遠隔操作ウイルスの感染は確認されず、「第三者の介在はない」と判断して逮捕に踏み切った。
しかし、その後の解析の結果、遠隔操作ウイルスの入ったファイルがパソコンから削除された痕跡が見つかった。府警幹部は「パソコンには膨大なファイルが残っており、限られた時間で(ウイルスを)見つけるのは難しかった」と説明する。
今回の捜査について、園田寿・甲南大法科大学院教授(刑事法)は「サイバー犯罪の場合、ファイルやアクセス記録を消される危険があり迅速な捜査が必要。IPアドレスをたどって逮捕に至ったのはやむを得ない」と理解を示す。
一方、ネットセキュリティーに詳しい神戸大の森井昌克教授(情報通信工学)は「遠隔操作ウイルスを悪用する犯罪は珍しくない。なりすましかどうかの裏付け捜査が不十分だったのではないか」と指摘。ウイルスの中には自動的に消滅するものもあり、「誰もが気付かないうちに端末を犯罪行為に使われる可能性がある」としている。
警察庁は9月、全国の警察に対し、ネット上の犯罪について裏付け捜査の徹底を指示。メールなどの発信元となった端末のIPアドレスが特定できた場合でも、第三者によって端末が遠隔操作されたり、ウイルスに感染したりしている可能性も視野に入れて捜査するよう求めている。
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