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道沿岸にサバ、カジキ、ボラ… 秋の漁で異変次々 残暑で高水温 サケは振るわず

(09/30 09:37、09/30 09:39 更新)

 記録的な残暑により海水温が高いまま推移している影響で、北海道沿岸の漁に異変が起きている。暖水を好むサバやカジキ、ジンベエザメなど“珍魚”が次々と網にかかる一方、この時期の主役であるはずの秋サケ定置網漁は振るわない。漁業関係者は「早く北海道らしい豊漁の秋に戻ってほしい」と恨めしげだ。

 道東沖には今秋、サバの群れを追い求め、漁船約20隻が集結した。前年にほぼゼロだった水揚げ量は27日現在、6640トンに上り、1978年(2万2730トン)以降最多となっている。

 高い海水温で、えさとなるプランクトンが道東沖で繁殖し、サバが南下せずにとどまっている可能性があるほか、東京電力福島第1原発事故以降、宮城県から茨城県までの沖合で巻き網漁が自粛中のため道東沖への来遊が増えたためとみられる。「市場でこれ以上さばき切れない」と、道まき網漁業協会(釧路)は、1日200トンまでという初の水揚げ量制限に乗り出した。

 道東漁業の主力であるサンマも豊漁で、全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま、東京)は操業制限に入っている。サンマは例年、9月には徐々に南下し始めるが、今年は高水温が南下を遅らせているとの指摘もある。

 根室管内では、8月に標津町沖で、9月27日には羅臼町沖で、それぞれカジキ1匹が定置網にかかった。カジキは温暖な外洋を高速で遊泳する大型魚で「沿岸ではなかなか捕れない魚種」(羅臼漁協)だという。

 十勝管内広尾町沖では6月にトキシラズ(シロザケ)定置網漁でクロマグロ1匹がとれた。9月に入ると同町沖や隣町の大樹町沖でボラやフグ、フクラギ(ブリの若魚)、マツダイなど耳慣れない魚が次々と網に入る。地元ではどれもなじみが薄いため広く出回ることはなく、刺し身用などとして飲食店などに安く販売されている。

 体長3・5メートルのジンベエザメが秋サケ定置網にかかったのは後志管内余市町沖。ジンベエザメは本来、関東以南の暖かい海に生息するサメだ。17日におたる水族館(小樽)が保護し、翌日から展示していたが「飼育の経験がなく、手探りで餌をつくって与えたが食べなかった」という。27日、海に返した。

 その一方で、秋サケは漁模様が思わしくない。道漁連によると、27日現在の秋サケ累計漁獲量は3万579トンと、前年同時期とほぼ同じ低水準のまま。残暑で海水温が上昇していることが主因とみられている。道内沿岸の秋サケ漁獲量は2003年以降、減少傾向にあり、ここへきての高水温が不漁に追い打ちをかけている格好だ。<北海道新聞9月30日朝刊掲載>

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