職人の技物語
使うのは糠と麹。稲わらでなった縄も欠かせない。いずれも「米」に関わるもの。
「ふぐの卵巣の糠漬け」は米どころの石川県だから可能になった味といえるかもしれない。
まず、糠をふるいにかけ、大きな箱に用意する。
そこに洗って水気をきった塩漬け卵巣を入れ、糠をまぶしておく。
木の桶に糠を敷き、卵巣をすき間なく並べていく。
一段分を並べたら、糠を全体にまぶし、麹を振る。この麹が発酵のスターターになる。
この作業を繰り返し、桶いっぱいになったら、
桶の縁に縄をぐるりと埋め込み、木蓋をする。
重石をするので、木蓋は桶よりもひと回り小さい。
本漬けに使われる木桶は30〜40年使い続けてきたもの。
近年では、桶をつくる職人がいなくなり、新しい木桶を入手することはできない。
これからもできるかぎり大事に使い続けていく。
伝統を次代に伝えていくことの難しさがここにも見えてくる。