職人の技物語
加工場には内にも外にも水槽があり、水がとめどなく流れている。
これは白山からの伏流水。美川町は知る人ぞ知る、湧き水の町。
卵巣と身をこのミネラル豊富な伏流水で洗い、卵巣は早速塩漬けにされる。
大きなポリ桶に卵巣を放射状に並べ、一段並べ終えると
表面が真っ白になるくらい塩をまぶしていく。
その上にまた卵巣を並べ、塩を振るという作業を繰り返す。
ふぐが入荷するごとに、塩漬け卵巣の量がふえ、ポリ桶いっぱいになると
漬け込んだ年月を書いた木札を乗せ、このまま1年という時を過ごす。
ふぐの身の方は3枚におろして、15時間ほど塩漬けして、水洗い。
4〜5日乾燥させ、糠漬けにされる。
こちらも珍味として知られる「ふぐの糠漬け」。
金沢では「ふぐのすじ」と呼ばれて親しまれている。
加工場そばの空き地では、この時期、天気がよい日はふぐの身を干す風景が広がる。