福井県のあわら市が12月に予定していた中国・紹興市への中学生の派遣を来年3月中旬に延期することを決めたことが4日、分かった。沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化を受け、生徒の安全を考慮した。
橋本達也市長が同日の定例記者会見で明らかにした。あわら市によると、芦原中2年生12人と教諭4人が12月10〜15日に訪中し、紹興市の中学校の訪問やホームステイなどを行う予定だった。しかし、尖閣諸島国有化後に中国国内で抗議デモが相次ぎ、保護者から派遣を不安視する意見も多数寄せられたため、市は生徒の安全などを考え派遣は厳しいと判断。9月26日にメールで派遣延期を紹興市に伝えた。
橋本市長は会見で「青少年の健全育成の一環で行ってきた派遣事業だけに非常に残念。早く両国関係が好転し、以前のように両国人同士が笑顔で往来できるようになることを願っている」と述べた。
あわら市は、紹興市出身の文豪魯迅とあわら市出身の医師藤野厳九郎との師弟関係が縁で、1983年に旧芦原町が友好都市を締結。86年から日中友好親善少年使節団として毎年中学生を派遣している。派遣が延期されるのは初めて。