福島第1原発:事故時の作業員「もうだめじゃんと思った」
毎日新聞 2012年10月07日 19時47分(最終更新 10月07日 19時59分)
野田佳彦首相は7日、東京電力福島第1原発事故直後に現場で対応にあたった東電や協力企業の社員ら8人と、福島県楢葉町の拠点施設「Jヴィレッジ」で懇談した。海外メディアから「フクシマ・フィフティーズ(福島の50人)」と称賛された社員らは、当時の苦境を生々しく証言した。
当時1〜4号機のユニット所長だった福良昌敏さんは「2カ所の中央制御室にそれぞれ20人近くが交代無しで48時間持ちこたえた。食料は乾パンと水しかなかった」と過酷な実情を語った。1号機の爆発の際には、中央制御室の天井板が全部落ち、ほこりで真っ白になったため、全面マスクをして作業を続けたという。
電源設備の責任者は炉心冷却用の電源が失われ、「万事休す。もうだめじゃんと思った」という。それでも電源復旧のため、部下に現場へ行くように指示。部下から「現場に行って、本当におれたちは戻ってこられるのか」と詰め寄られた。「お願いだから行ってくれ」と頼んだことを「一番つらかった」と振り返った。
3号機の水素爆発時に重要免震棟にいた作業員は「ドンと(音が)来て体がふるえた。戻ってきた同僚の顔は真っ青だった。こんなことを起こしちゃいけないと今でも強く思っている」と語った。
首相は懇談後、「恐怖と過酷な環境で奮闘いただいたことに、国民の一人として心から感謝します」と頭を下げた。【影山哲也】