余談 シンの勘について……
続きを御待ちの方には申し訳ない。
これは余談だが、シンにはこうなることが判っていた、と言ってもいい。
少なくとも、表紙や挿絵にお借りしていたイラストは、早い内に○○○ノベルスのクリエイタ―ズアートから削除しておこうと思っていた。
予感があったのだ。
厭な予感が。
『沙希伶――イースター外伝――』にシンがお借りしていたイラストは、一目で気に入り、作者様にお願いして、快く承諾を頂いたものである。
大切に扱い、決して、シン以外の誰かが無断で使用することがないよう、万全の注意を払う、とお約束をしたものだ。
その約束だけは、何としても守らなくてはならない。
幸いシンは、社会人として長く世間に塗れて来て、人を見る目も多少はあり、そういう勘も働く部分があったのだろう。
お借りしたイラストを○○○ノベルスから消しておかなくては危ない、という危機はすぐに感じた。
何故、消しておかなくてはならないのか。
それは、以前、不当評価事件で、何人かのユーザーの登録を抹消したと○○○ノベルスから連絡が来た時、消えていたユーザーのイラストだけが、名前も何も載らずに、クリエイタ―ズアートに残っていたことを覚えていたからである。
もちろん、アカウントを取り上げられてしまった元ユーザーに、自分のイラストを削除することは出来ない。
そして、○○○ノベルスに削除を依頼しても、まず聞いてもらえないだろう。
会員の時でさえ聞いてもらえなかったのに、アカウントを取り上げられた後に、聞いてもらえるはずもない。
自分のイラストなのに、自分の意思で消すことが出来ないのだ。
もし、お借りしたイラストがそんなことになったら……。
その危惧から、シンはまず、そのイラストの削除と、作者様にお詫びをすることから、ことを始めた。
何事にも順序が大切だ。
社会人として、きちんと順序は守らねばならない。
何より、あの○○○ノベルスのクリエイターズアートの酷いこと。
版権無視のさまざまなキャラのイラストが、あちこちから許可もなく持ち込まれて、何のチェックも規制も受けずに、野放しの状態になっている。
あれだけでも、訴えられるには充分な要素ではないだろうか。
ユーザーの方に常識がないと言われればもちろんだが、管理できないのなら、あんなものは作るべきではない。
一体、あの中の何人が、シンのように作者様の了承を得て、イラストを使っていたのだろうか。
恐らく、自分で描いている人以外は、皆、違法にコピーして持ってきているのではないか。
残念なことに、シンは絵が描けない。
だから、人様にお願いする他ない。
そして、それを面倒だとも、厄介だとも思わない。
もし、どこかの誰かがシンの小説を見て、自分のイラストに合うから、これを漫画にして勝手に投稿しよう、と思ったら、どう思うだろうか。
簡単である、
されたくないことを人にしてはならない。
硬いことを言うようだが、それが常識というものだ。
その常識を持ち合わせていたお陰で、シンはお借りしていたイラストを守ることが出来たのだ。
でなければ今頃、シンの小説は消えたのに、イラストだけはあの悪の温床のようなクリエイターズアートに残ることになっていただろう。
それを誰かに勝手に使われることにでもなっていれば。お借りした作家様にお詫びのしようがない。
今回の件で、それだけは心底安堵できたことである。
そして、自分の感は正しかったのだ、と再認識出来たことでもある。
さて、余談はこれくらいにして、次はメールの続きに進むとしよう。
早く全てを明るみに出してしまわなければ、○○○ノベルス運営は、今頃この「なろう」にも、削除の依頼を出しているに違いない。
もちろんこれは、シンが長年の社会人生活の中で培ってきた勘である。
そして、その勘は、さっきも言ったように、当たるのだ……。
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