暴動特約:保険料増の懸念広がる 新規契約停止で

毎日新聞 2012年10月05日 22時11分

 大手損害保険各社が、中国での暴動やストライキによる企業の被害を補償するSRCC特約の新規契約を停止した。今後は同特約の保険料が引き上げられる可能性が高く、中国に進出する日系企業の業績や新規投資にも影響が出そうだ。【立山清也、大久保陽一】

 損保各社は中国各地で先月起きた反日暴動後、契約企業の被害調査を進めており、総補償額は最大で数百億円に上る可能性がある。特約の新規停止は今回の被害調査を優先し、保険金支払いリスクを見直すため。進出企業にとっては新規契約だけでなく、契約更新時の保険料も値上げされる可能性がある。

 先月の反日デモによる被害額は、山東省青島市の「ジャスコ黄島店」が暴徒に襲われたイオンが現段階で約7億円と見積もった。2階建て店舗の窓ガラスが鉄パイプやレンガで割られ、食品や家電製品、貴金属などが奪われた。同社によると、被害額は全額保険で補償される見通しだ。

 湖南省長沙市のショッピングセンターが襲撃され休業中の平和堂も、直接被害だけで5億円。同社も「中国の保険会社と契約しており、4億円が補償される」と説明。青島市や広東省など4工場の生産設備や建物が破壊されたパナソニックも「破壊された設備は保険の対象で、今期の業績に大きな影響はない」と話している。

 しかし、問題はこれからだ。大手電機メーカー幹部は「来年度の保険契約の更新時が心配。保険料がどのくらい上昇するかによって対応を検討する必要がある」と今後の保険料負担増を懸念。別の電機大手も「長期的には今後も反日デモが発生する可能性があり、損保契約は引き続き重要だ」と話している。

 セブン−イレブンやイトーヨーカドー、ファミリーマート、牛丼の吉野家などは中国国内の保険会社と契約しているため、日本の損保各社の対応について「今は特に影響はない」と説明している。ただ、日本の損保各社の対応を受けて「中国側が日系企業との契約に制限を加える可能性もある」(コンビニ幹部)という不安が広がっている。

 ◇キーワード・SRCC特約

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