大手損保:中国の暴動特約保険の新規引き受け一時停止-既存分は継続
10月5日(ブルームバーグ): 大手損害保険3社は、尖閣諸島の領有権をめぐり発生した中国での暴動に関連し、日系企業への被害を補償する保険特約(SRCC)の新規引き受けと、既存契約の補償額の積み増しを一時停止した。損害調査を進め、被害額が確定するまでは、追加リスクを引き受けできないと判断した。既存契約の更新は継続している。
三井住友海上火災保険の広報担当、松浦俊嗣氏は「デモが完全に収束したかを判断する必要があり、現時点で新規は引き受けていない」と説明した。新規引き受け再開の時期について、東京海上日動火災保険の広報担当、嶋田浩生氏は「未定」としている。
暴動被害を受けて、今後は特約部分の保険料引き上げの可能性も出てくるが、損害保険ジャパンの広報担当、津久井譲氏は「リスク量がどう変わるかを見極めないと検討できない。現時点では情報収集や損害調査の段階」と述べるにとどまった。
日本損害保険協会の柄澤康喜会長(三井住友海上社長)は9月20日の会見で、反日デモによる保険金支払い額について「数十億-数百億円」と想定。各社の決算に与える影響はそれほど大きくないとみている。
中国では9月、日本政府による尖閣諸島の国有化に抗議して大規模な反日デモが各地で発生。トヨタ自動車や日産自動車、キヤノンなど日本企業の操業に支障が出たほか、大手流通のイオンはジャスコ黄島店が破壊され、7億円相当の被害が発生した。
5日付の日本経済新聞朝刊は、中国の暴動特約保険の新規引き受けの停止を先に報じていた。
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更新日時: 2012/10/05 12:14 JST