題名通り久石譲が手がけた映画音楽のベスト盤と言っていい曲目に惹かれ購入しました。
東日本震災を受けてのチャリティーコンサートの録音だそうです。
曲目は先述の通り良いですが、注目すべきは演奏から伝わってくる情熱です。
本来映画音楽はその主張が映画を上回ってはならないものですが、
この録音では音楽が主役だと言わんばかりに、密度の濃い演奏を繰り広げています。
特に『悪人』後半から『アシタカとサン』への流れは感動的です。
また編曲も良く、一部の曲はいくつかの曲をつなげてあるので、
『もののけ姫』に含まれるタタリ神など曲目からは分からない良曲を聴くことができます。
ただ一点残念なのは、「編集してある感」が強いことですね。
例えば弱音が不自然に強調されていたり、管楽器の息の音がすぐそばで聴こえたりなどです。
また、主旋律を担当しているセクションの音が小さいことも多々あり、
小さめの音でBGM的に聴くには向いていません。
そういうこともあり、星を4にしようか5にしようか迷いましたが、
この演奏は何かをしながらボーッと聴き流すことを求めていないと思うので、5にします。
総括すると、オーケストラによる演奏をCDで聞き慣れている方にはかなり違和感があると思いますが、
このCDの魅力は何よりも久石さんが入魂のコンサートを開催し演奏者がそれに応えた記録がある、そこに尽きると思います。