名古屋グランパスは決め手を欠き、大宮と無得点で引き分けた。首位の広島は横浜Mと引き分け、勝ち点を54に。2位仙台はG大阪を下して勝ち点51とし、勝ち点差を3に縮めた。清水は磐田との「静岡ダービー」を制し、勝ち点44で磐田と入れ替わって4位に浮上した。磐田は同42で5位。
◆名古屋0−0大宮
ホームで下位の大宮相手にドロー。結果だけを見れば消化不良の試合だったが、90分間には明日への光が随所に見えた。ストイコビッチ監督は「ケーキに例えれば基礎(スポンジ)はある。クリームがない」と決定力不足を嘆きつつも、内容には合格点を与えた。前節で新潟に惨敗して優勝が絶望的となり、目標を見失いかけたチームに活力が戻ってきた。
最大の収穫はFW玉田をトップ下に配した「4−2−3−1」が機能したこと。指揮官は「4−3−3」の基本システムから前半30分に変更を決断。ボランチにダニルソンと田口を並べたことで守備が安定し、中央の玉田を起点に再三チャンスが生まれた。シュート数は新潟戦の7本を大きく上回る17本に達した。
玉田は「あれで(味方と)いい距離感が保てるようになった。スムーズにボールが動くようになった」と効果を語る。左足首痛を抱えてピッチに立ち続けてきた玉田。「今週は痛みもなく、いい感じで練習ができていた」と状態は上向き。後半10分にはドリブル突破からのクロスで絶好機をお膳立てした。
ここ数シーズンは高さのあるFWケネディを中心にした戦い方を貫いてきたが、前節の新潟戦で再離脱したエースはもはや頼りにできない。ケネディ抜きの新スタイルへの脱皮を図った試合で、玉田を中心とした“地上戦仕様”の形が見えた。
玉田は「これを最低限のベースにしてやり続けないといけない。点が取れなかったからやめるでは成長しない。我慢して続けることが大事」と語気を強める。
観客数は今季最少で、初の1万人切りとなる8793人。終戦ムードが漂い始めた大宮戦をきっかけに、グランパスが意地のラストスパートに入る。
(木村尚公)
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