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台風17号で石巻・1万人に避難勧告 実際行動たった82人

 9月30日から1日にかけて台風17号が東北地方を通過したのに伴い、宮城県石巻市は1万人以上に避難勧告を出したのに、実際に避難した住民は100人に満たなかった。同市で避難者が勧告対象の1%にも達しなかったのは、ことし6月の台風4号でもみられた現象。市は東日本大震災による地盤沈下などで「震災前より災害の危険性が高まり、勧告は必要だった」と強調するが、専門家は「勧告が『おおかみ少年』になる恐れがある」と警鐘を鳴らしている。

 市は台風の進路予想などに基づき30日午後7時半、旧北上川河口部などの4702世帯、1万1377人に避難勧告を発令。防災行政無線や広報車で対象地区の住民に避難を呼び掛けた。
 1日午前4時半に勧告を解除するまで、市が設けた避難所に身を寄せたのは最大時で49世帯82人と、対象者の0.7%にすぎなかった。
 市は、震災により対象地区から内陸部の仮設住宅などに移っている被災者も多数、勧告対象者に含まれたことも影響したとみている。
 勧告対象となった湊町2丁目に住む自営業男性(65)は「防災無線は聞こえたが、以前の台風でも被害がなかった」と自宅2階で過ごした。浸水被害はなく、「また発令されても避難しないかもしれない」と語る。
 市によると、震災で市内は平均70センチ前後、地盤が沈下し、沿岸部や川沿いは震災前より広範囲で浸水被害が想定される。市は勧告エリアを広げ、発令基準を強化。大雨関連の避難勧告(1000人以上)は震災前の10年間で2回だったが、震災後は今回で4回目だ。
 6月の台風4号でも1万359人を対象に発令したが、避難したのは最大時で73人。震災後の避難率は4回とも1割を切っている。
 市防災対策課は「多くの命が失われた震災を教訓として、ちゅうちょなく勧告することにしている。危険は常に隣り合わせだという意識を持ってほしい」と住民に注意を促す。
 東洋大社会学部の関谷直也准教授(災害心理学)は「避難勧告が出ても大した被害がないというパターンが繰り返されると、住民に『避難勧告はおおかみ少年』とすり込まれてしまう。予防的な避難勧告を頻発するのは、あまりいいことではない」と指摘している。

[避難勧告] 災害対策基本法に基づき、災害発生の危険性がある場合などに自治体が発令する。避難のための立ち退きを勧め、促す。強制力は「避難指示(避難命令)」に次ぐ。


2012年10月02日火曜日


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