姜尚中が初告白「『悩む力』は亡き息子との合作」
100万部を超えた大ベストセラー『悩む力』で有名な姜尚中・東大教授が、長男が非業の死を遂げていたことを週刊文春に初めて明かした。
「息子は3年前に亡くなっています。最終的な死因は呼吸困難だったと思いますが、生まれたときから多分、神経のインパルスが欠落していたというのがあった。逆子で生まれてきて、羊水が肺に入ってしまい、保育器にかなり長くいましたから。人によっては神経系の接続が非常に悪くなったりする病気がある。それが大きな原因だったと思います」
長男の死は、いまだに姜氏に重くのしかかっている。
「隠していたわけではない。ただ、今はまだ、悲しみが抜けてないから……。自分の不幸をわざわざ人には伝えないでしょ?」
しかし、いずれ長男のことは何らかの作品にしたいと考えているという。
「僕は本当の悲しみを知ったうえで『悩む力』を書いているんです。息子の死があったから、僕は『悩む力』が書けた。これは息子との合作です。実際、読者の中に、自分の命を絶つことを何とか思いとどまった人はたくさんいるんです。
息子が悩みながら思索を重ねていったのは間違いない。まだ僕はその全容を知りえてない。もう少し息子について僕がよくわかれば、彼との対話というかたちで本を書こうと思っています」
姜氏は本誌の取材に、来年3月末に東大を退職し、キリスト教関係の仕事に取り組みたいと語っている。