反常識のマーケティング 「売れない時代」のホントとウソ 花王元会長が語る「安売り至上主義は、消費者を不幸にする」
洗剤「アタック」などで知られる花王のトップを長年務めた後藤卓也氏。現在は日本マーケティング協会の会長の立場から、活発に発言している。
国内消費の低迷する中、低価格商品の強化とグローバル展開を進める日本企業のマーケティングの死角をすばり指摘する。
(聞き手と構成は山崎良兵=日経ビジネス記者)
唐突ですが、マーケティングって何でしょうか。そのまま尋ねたら、「広告宣伝!」「販売活動ですか?」「商品開発でしょう」といった様々な答えが返ってきそうですね。
しかし私は“経営”そのものだと思っています。
マーケティングの原点となるのは、やはりお客様です。消費者や企業など顧客が何を求めているのかを探り出して、魅力ある商品やサービスの形で具現化していく。それをお客様が使って満足したら「次もまた使おう」と考える。
その結果、企業は収益を得られる。このようなサイクルをどんどん回して動かしていく。だからマーケティングは経営そのものなのです。
この大きな視点に立って、様々な戦略を実行する必要があります。狭い範囲で考えてはいけない。「とにかく新商品ができたので、売らないといけない」「販促費を出すので販売店さん売ってください」といった姿勢では、過酷な価格競争に陥るだけです。いわゆるデフレ現象をむやみに加速させることになる。
「安いのはいいことだ」に大反対
「モノが安いのはいいことだ」とばかりに、低価格路線を取る企業が増えています。しかし私は大反対です。価値ある商品を作っているなら、ふさわしい価格があるべきです。
適正な利益をメーカーが確保できないと、長続きしません。スーパーが「プライベートブランド(PB)」商品をどんどん出して、安売りしても消費は伸びていない。安売り追求には、既に限界が、見えてきているのかもしれません。
モノ作りをするメーカーとしては、デフレに対抗するには付加価値を高めるほかに道はありません。
つい最近、国内の大手スーパーの経営幹部と会う機会がありました。PBに力を入れている会社です。「品質が多少悪くていいので、少し安い値段でPBを出してほしい」といった風に、多くの大手スーパーはメーカーに働きかけています。
しかし花王は、家庭用洗剤の「アタック」のPB商品はやりません。「300円を200円にしてもらえるなら、数量を保証するから作りませんか」と言われても絶対にやらない。アタックは、マネが難しい「鼻薬」のような技術が入っているから、価格が高くても売れるのですが、それを入れなくていいので安くしてほしいと言う。
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